ここ数年来私たちは人類の未来をも左右しかねない目に見えない
恐怖と戦っています。いつまで続くか判らない息詰まる日々の生活は
長きに渡って培われて来た当たり前の日常を変えてしまいました。
ソーシャルディスタンスによる感染予防策は今や常識となっていて
マスクなしでの外出は社会の厳しい目を覚悟しなければなりません。
とは言っても人類の発展は多くの人々の英知の終結によるもの
であり人の集まるところに素晴らしい文明が築かれて来たのです。
社交ダンスは私達の生活をより豊かにスムーズにする為に発展して
来ました。生活の基盤となる対人関係を踊る事によって学ぶことが
出来るようになり、欧米社会では子供たちの情操教育や若者たちが
対人関係のルールを学ぶために利用されてきました。
直接身体の一部を触れ合うことによりお互いの心と身体を知ることが
出来る為、踊る楽しさ以上に社会で生きて行く為の術を学ぶことが
出来るのが社交ダンスです。
感染防止のためのソーシャルディスタンスとは言え私たち人類は
互いに触れ合いながら文化を築き上げて来たのです。
社会を発展進化させる為に私たちは互いに集まり協力をし合って
歴史を作って来ましたが、それ以上に互いの身体を触れ合うことで
心と身体を育てて来たのです。
言葉以上に互いに触れ合うことはとても重要で、対人関係を豊かに
するだけでなく人間同士の信頼と安心を生むことが出来るのです。
欧米社会で日常的に行われるハグやキスの行為は、単に身体を
触れ合っているだけでなく互いの心と身体を感じ合いながら
豊かな人間関係を育てているのです。
社交ダンスは美しい姿や運動表現を求めるだけでなく、コンタクトして
音楽とお相手を感じることで互いの音楽表現が融合しより美しく
豊かなペアとしての音楽表現を創り上げる事が出来るのです。
どんなに知識があり運動表現を知っていても、コンタクトする意味を
正しく理解していないと、それはトラブルの原因を生むだけであり
例え外見的に美しくてもお互いの心は躍動しないのです。
今や私たちは長きに渡るソーシャルディスタンスを強いられることで
お互いに触れ合うことに渇望しています。
社会全体が人との触れ合いを求めている事でいつまでも感染が
収まることがなく人々を苦しめているのです。
友と直接触れ合うことなく成長していく子供たちの未来が不安です。
ソーシャルディスタンスを強いられながらステイホームで仕事をする
多くの大人達の心と身体は次第に疲れが目立ち始めています。
しかしながら終わりの来ない夜はありません。
必ずや近い将来明るい未来が待っていると信じています。
その時社交ダンスの役割がいかに大切であるか、惨禍を
乗り越えてソーシャルディスタンスの苦しみを経て、
いかに私たちは人との触れ合いを大切にしなければいけないか
誰の心にも深く刻まれると思われます。
男女のふれあい、家族、親戚、友との心からの触れ合いの
大切さが感じられると思います。
社交ダンスは音楽の中で互いに触れ合い心を感じ合うことで
踊りの楽しさ以上に人間としての関わり合いの重要さを
教えてくれます。
外見が求められがちな社交ダンスが多くの人々の心を癒し
人間同士の深い絆を育てる事がこのつらい時期を超えたとき
理解されることを心から願わずにはいられません。