社交ダンスに於いて、意外と理解されていないのが男女の
心の中の思いです。
踊っている時の姿の印象が強くて、その時男女がどの様な
気持ちでいるのか、そして互いのコンタクトを通じた運動表現が
如何にお相手に伝わっているか、外見的な音楽表現や表情に
囚われる余り理解されていない事が多いです。
特に男女は、如何に長くペアを組んで居ようと本当に心から
互いを理解し合って踊っているとは言えません。
様々なテクニックや運動表現を使う事で、本心を包み隠して
踊っているいる事も少なくないのです。
そう、俳優さんが、多くの卓越したセリフ回しを行う事に依って
本心とは全く違った役柄を演じている様に。
しかしながら、社交ダンスは演劇的要素も有りますが、何と言っても
その時互いに行き来する生の感情のやり取りが大切なのです。
演技として同じ音楽表現を常に求められるならいざ知らず、
次々に生まれる素晴らしい音楽、そして誰とでも踊る事が出来る
社交ダンスの魅力を感じたいならば、実際に踊っている最中に
互いの心と身体が如何に躍動しているかを感じ、自分の持っている
テクニックや運動表現に変えて行かなければ成りません。
更に、目の前のお相手が自分のリード＆フォローによって
生き生きと喜びの音楽表現を演じられる様にする事が大切です。
互いに持っている能力がより豊かに反映される様にやり取りが
行われる様に演ずる事が重要です。
コンタクトをしながら踊る事がお互いに快感と成る事が大切です。
自分の力だけでなくお相手から誘発される更なる未知の表現が
生み出されて来る喜びは何物にも代えがたいものです。
しかしながら、覚えたステップやルーティンを間違いなく踊る事
そして決められた上体の形を維持しながらお相手のやり取りに
ストレスを感じている様では、社交ダンスの心からの感動を
得る事は不可能と言えます。
自分の身体がひとりでに望む様に動き、更には二人で踊る事の
感動を与えてくれるリード＆フォローを与えてくれるお相手は
社交ダンスにとって最高のパートナーと言えます。
人は誰しも、楽しい事気持ち良い事には自然と心と身体が反応し
寄り添いたくなるものです。
ステップやルーティンを間違いなく踊る事や、外見的な優劣に
一喜一憂している様では、到底その喜びは得られません。
他の人に見る幸せそうな魅力的な踊りを真似ていては、
貴方の心と身体は決して満足せず、常に新たなるステップや
ルーティン、そして外見を追い求める果てしない心苦しい日々が
無くなる事は無いのです。
如何に自分とお相手を心から満足させる事が出来るか。
この踊りは踊っている当事者でしか決して生み出す事は
出来ません。
人の喜びを真似ているだけでなく、その先に有る本当の喜びを
自らの身体とお相手に求める努力が必要です。
他人は、お相手は、一体何を求めているのだろう。何が出来れば
楽しいのだろうと考える事が出来るだけで、世の中を楽しく生きる
大切な術を得る事が出来ます。
自分だけの喜びや満足を求め、他人の持ち物を羨み、自らの
至らなさを卑下している毎日には決して幸せは訪れません。
本当に楽しい社交ダンスを踊りたかったら、目の前のお相手が
心から楽しむ事が出来るリード＆フォローを常に考えていれば
お相手は、自分が最も求める踊り易い素敵な音楽表現を自然に
してくれるのです。
誰しも求める物が得られると幸せに成ります。すると与えてくれた
お相手や環境に対して好意を抱き、自らもその幸せを与えようと
するものです。
素晴らしいパートナーを得たいと思うなら、出来る限りお相手の
思いを達成してあげると共に、常に気持ち良く踊れる様に
心から気を配ったリード＆フォローををする事が大切です。