ボディを使った音楽表現について | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

社交ダンスは、踊っている曲の音楽表現をボディの

様々な所作によって表します。

レッスン教本やテキストに音楽を表現する時は、ステップに

音楽リズムやタイミングを記載していますが、実際は、

足型には音楽リズムは無く、その上に支えられている

上半身の感情表現が音楽のイメージを創り出します。

 

ステップはあくまで身体を支える土台の役割であり、

上半身の運動に対し反射的に方向歩幅を作りだし

下半身に因る音楽リズムを表現します。

初心者や観客の多くは、ステップ自体に音楽表現が

あるように思いがちで、踊り手の姿よりも足元に気が

行っている方が多いです。

 

確かに脚を見ていても音楽リズムや音楽の雰囲気は

感じられますが、実際の音楽の説明は、男女の上体が

互いに繋がり合って感情表現を行っています。

その為、上手く成って来ると、音楽リズムもメロディーも

上体を演ずる事に依って生み出す様に成ります。

その為、エキスパートやこの事に詳しい審査員は

大きな大会で一度に20組近くが踊っていても、ペアの

上体の動きを見るだけで瞬時に踊りの良し悪しが解り

足元でどの様なステップが使われているか解ります。

 

音楽表現は、常に地球の引力とバランスを取りながら

演じられます。

基本は自らの体重で有り、ノーフットライズで脊椎で

バランスを感じた所から始まります。

どれ位重心を深く下すか、床を強く押すかは上体の

音楽表現によって決まり、床を押したり蹴ったりして

踊っていると、常に上半身が止まった踊りと成り、

全ての運動機能が滞り、男女共足形やルーティンばかりが

気になる音楽を感じられない楽しくない踊りに成ります。

 

支え足がどれ程の力で床を押すかは、上体がどの方向に

どれほどのスピードとパワーで動くかによって決まります。

もちろん音楽表現ですから、とても滑らかで男女が

繋がりを持った空間への筋肉運動を行います。

常に脊椎でバランスを感じながら、左右の肩甲骨と

ショルダーが両足に音楽表現を伝え続けます。

 

両脚は基本的に常に床から離れず、上体の空間への

動きに反射的に床にプレスを与え重心を移動させます。

この事は社交ダンスに限らず全ての運動に共通で有り

上半身の意志が下半身に反射的に上手く繋がっている

踊り手やプレーヤーは、音楽性豊かなスピーディな

ボディ表現を生み出す事が出来ます。

 

ボディの左右が其々異なった繋がりの有る運動を

行う事で、スタンダードダンスは、男女が同調する事で

あたかも上半身が何もしていないかのように見え、

ラテンアメリカンダンスは、常にボディからあらゆる方向に

音楽が生れて来るように感じるのです。

 

床を意識的に押しながら踊ったり、上体を記憶した様な

表現をすると、上半身と下半身がばらばらと成り、当然

男女の間には繋がりの無い無意味な緊張感が生れます。

私達の身体は、誰もが上半身の意志を伴った運動によって

下半身がその時最も適切な運動を行う様に成っています。

その繋がりを正しく理解していれば、必要な強さと運動を

下半身が生み出してくれるのです。

 

現在熱戦が続けられている東京オリンピックのプレーヤーは

この上半身と下半身の繋がりを極限まで高めた人達です。

思うが儘に脚が下半身が重心を動かして上体の求めるべき

パフォーマンスを生み出しているのです。

彼らと私達とは全く同じ機能を持っているのです。

少なくともその機能を知っていれば、社交ダンスは心から

楽しく踊れるのです。

足型やルーティンを常に頭に描きながら踊っている場合は

少なくともこの素晴らしい技能を使えていないと言えるのです。