多くの踊り手が踊る時の最初の動作はステップと思っています。
特にスタンダードダンスを踊る時上体を固定している踊り手は
先ず運動の始まりが下半身のステップワークから始まっていて
意思とは関係なく記憶の元にステップが唐突に歩幅を作っている
とても不自然な踊りをしています。
私達二足歩行の人類は、二本の足で歩いている様に思いますが
その動きを生み出しコントロールしているのは上半身です。
上半身が意思の元目的の方向に動き始め、その運動がボディを
通じて下半身に繋がるとスタンディングフットが床をプレスし始め
ムービングフットが目的の方向に振り込まれます。
つまり、上体が止まった状態では下半身の運動表現は出来ない様に
生れてから機能が備わっているのです。
足を動かす時は上体の動きによって下半身のプレスとスウィングが
反射的に行われるのであって、足を一歩一歩動かそうとしている
のでは有りません。
縦に長い私達の身体は、上体が前後左右に動く事に依って下肢が
目的の方向にスウィングを起こすのです。
五円玉にひもを括りつけて振ってみて下さい。指先を動かさなければ
スウィングが起こらない事が解ります。
ほんの小さな指先の動きで大きく五円玉を動かす事が出来ますが
指先を固定していてはスウィングは起こりません。
社交ダンスを踊っている時上体の前後左右の運動と左右の上体の
ローテーションが下半身にスウィングを生み出しているのです。
ほんの小さな動きですが上体の全ての部分が動く事に依って
ステップがとてもスムーズに大きく振り込まれるのです。
男女の上体が同調して動いている事から上手な人が踊ると上半身は
全く何もしていないかのように見えてしまうのです。
このしっかりとした下半身を動かすための上体の動きを作らなければ
社交ダンスだけでなくあらゆるスポーツは成り立たないのです。
コンタクトして踊る事に因り男女の上体の筋肉運動が同調する事で
四肢が思うが儘に様々なステップを創り上げて行くのです。
社交ダンスを知らない方には、踊り手は足を動かして踊っている様に
見えてしまう為、その見た目を真似する事で上達できないのです。
上半身を固めて踊る事が如何に致命的であるか、男女がお互いの
心と身体を感じながら踊る為には余計な緊張は要らないのです。
上半身の様々な緊張は、男女が互いにお相手に対して反射的に
運動表現をする事に依って生まれ、その強いトーンは常に変化し
新たなる美しい形状を生み出しているのです。
ホールドの大きさも強さも男女が踊り出して初めて生まれるもので
コンタクトした瞬間から上体が運動を始め、二人ににふさわしい
ステップの大きさ強さを生み出して行きます。
例えステップの種類がありルーティンが決まっていたとしても
それらの下半身の運動は全て反射的に動く様にしなければ
思うが儘に楽しくは踊れません。
上手と言われる多くのペアが互いの運動表現やステップワークを
自分の記憶の再現で生みだしています。
その為、外見的に美しい上体を保つ為には、男女異質の運動で
ホールドが崩れないようにしっかりと固定しなければ成りません。
しかし、こんな踊りは遠い過去の踊りであり、わざわざコンタクトして
踊る意味は有りません。
上体をコンタクトして踊ると言う事は、独りよがりの自己満足の
踊り方では成り立たないのです。多くの踊り手が社交ダンスを
踊っていると言いながら格闘技のコンタクトとなっています。
ホールドの大きさもステップの大きさも、ペアとして必要な
歩幅として自然に生まれるものであり、意識的に強調して
踊る事は非常に不自然で有り、男女のコミュニケーションが
全く感じられない魅力ない踊りと成ってしまいます。
男女がコンタクトして踊ると、互いに持っていない能力を
得る事が出来、一人で踊るよりも遥かにスケールの大きい
人間味豊かな踊りに成ります。
外見だけそれらしく見せても二人の思いが全く感じられない
男女がノルマを果たしているだけの踊りがとても多いです。
今や外見的な美しさや見た目の派手さを見せる時代では
有りません。一人一人が生かされペアとして豊かな感情を
表現する事が大切です。
ステップよりも二人の魅力的な心を見せられる踊りこそ
これから求めるべき社交ダンスと言えると思います。
明日からまた帰省します。
来月からブログを再開します。
今日、一回目のワクチンを接種しました。
一日も早く世界中の人達がマスクなしで触れ合いながら
生活出来る日が来ることを心から願いたいものです。