社交ダンスを踊ると言う事は、男女がお互いの楽器を奏でたり
歌を歌う事と似ています。
其々の楽器の音を聞きながら一つの音楽表現を行ったり
ペアとしての美しい歌声を聴かせる事の様です。
同じ曲を演奏していても歌っていても、互いにお相手からの音や
声を聴きながら行っているはずです。
社交ダンスはコンタクト面を通してお相手の心と身体を知る事が
とても大切なのですが、離れていても表情や動作をしっかりと
感じ取りながら踊る事がとても大切です。
誰もが当たり前に行っている様に思いがちですが、実際に踊ると
自分の事で精一杯であったり、自分の踊り方の主張ばかりで
お相手の事が全く感じられない方も少なく有りません。
音楽に合わせる事は踊りの基本では有るのですが、お相手の
運動表現や感覚を感じ取る事は中々難しい様です。
もちろん其々の個性があるから、触れているだけで察知する事は
至難の業とも言えますが、唯感じ取ると言うよりも、男女の違いを
よく知っていなければ成りません。
男子がリーダーと成り女子がパートナーとして踊ると言う事は
男子の言う通り女子が付いて行く様に踊ると言うのではなく
男女其々の性格性質の違いによってその様に説明されるのです。
多くの男子に見られる傾向は、自分のイメージで行動し、自分の
感覚で運動表現を定めがちです。この事は太古の昔から男子は
外に出て獲物を獲得して来ると言う役割が多かった事から、
自らが食料調達の方法を決めなければならなかったからです。
また女子は、その間家庭を守り子供を育てると言う役割が多く
男子によって与えられた獲物を選別し料理し家族全員に分け
与える、更には子供達や家族の行動や考えに注意を払い
自らの意志を主張すると言うより、皆の意見を取りまとめる役割が
多く有ったと言われているからです。
社交ダンスを踊る時も男女の特性が利用されているのですが、
この違いは其々の意思の疎通を阻む原因ともなっています。
二人で流れる音楽を表現する時、互いに自分が思っている様に
お相手が踊ってくれると思いがちですが、其々の性格の違いから
思い通り一心同体の演技には成りずらいのです。
この事は日常的な男女の関わり合いに於いても其々の思いの
行き違いを生む事にもなっていて、トラブルの原因と成っている
場合も少なく有りません。
社交ダンスは、自分が思うように感じる様にお相手が踊って
欲しいと誰もが思うのですが、自分が思う様に踊るとは、
自分だけが思うと言うより、目の前のお相手から伝わる
心と身体を受け止めた考え方で踊る事がとても大切と言えます。
お互いに自分が思った様にお相手が演じてくれる事に因り
気持ち良く踊る事が出来るのです。
社交ダンスに於いても社会生活に於いても、このお相手の
思いを受けとめ思いを出来るだけ達成してあげるように
する事が大切です。
初心者や余り踊れない方と踊る時は、その心情をしっかりと理解し
現実の運動能力や社交ダンスの理解力でも充分に楽しめる様に
コンタクト面から思いやりのある運動を伝える事が重要です。
お相手により千差万別に踊り方を変えられる方が望ましいのです。
もちろん、特定のお相手と決められたステップやルーティンを使い
外見的な美しさを競う事も良いのですが、踊る根底には、常に
ペアとして誰と踊っても二人の間に愛情が感じられる踊りが
望ましいのです。
二人で家族で、友達同士でグループで歌を歌ったり音楽を奏でる
喜びが社交ダンスには有るのです。
互いにお相手や周囲の人達の声や音楽を聴きながら心から溢れる
笑顔が社交ダンスの運動表現の目的でも有るのです。
誰とでも自然な笑顔溢れる社交ダンスが踊れる事が、本当の
社交ダンスの醍醐味でも有るのです。