沢山の知識を身に付けても目の前の人の心が読めない問題 | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

社交ダンスの技術は、過去30年程の間に著しく進歩してきました。

かつてプロのみが知っていた専門的な知識も、今ではネットの

発達も有って誰でも簡単に手に入れる事が出来、その情報量は

アマチュアの方であっても驚く程です。

誰もが評論家の様に踊りを分析し、有する数多くの知識や情報は

より華やかで美しい社交ダンスの発展に繋がっています。

 

世界中の踊り手を見る事が出来、様々なトッププロのコーチですら

ネットを通して簡単に視聴する事が出来る時代と成りました。

その為、社交ダンスを楽しむ方々はさぞや楽しい思うが儘のダンスを

踊れていると思いきや、実際に踊ってみると、思った程の進歩が

見られないだけでなく、知識があるにもかかわらずペアとしての

スムーズなやり取りが見られません。

 

大きな問題の1つは、ステップの種類や順番、そしてルーティンを

決めてあげると楽し気に踊れるのですが、自分で構成して踊る

と成ると途端に不自由と成ってしまいます。

この事は初心者がと言うのではなくかなりのベテランであっても

社交ダンスは決められたルーティンを踊る事と思っている方が

とても多いのに驚かされます。

 

確かにデモンストレーションや競技ダンスは自分達の決められた

ルーティンを踊る事が多いのですが、社交ダンスの基本は

その都度周囲の状況相手の状態に応じて、反射的に最も適した

ステップやフィガーを使い、その時最も的確な運動表現を生み出す

と言うものです。

誰とでも楽しく踊れる基本は、お互いにお相手の心と身体に応じた

その時最も適切な運動表現を生み出す事に有ります。

 

所が、教える立場にある方の多くが単に自分の踊り方やルーティンを

記憶させるだけで社交ダンスの本来の目的を教えられません。

特定の方や先生としか楽しく踊れ無いと言う方が珍しくない事が

社交ダンスが広まらない原因でも有り、難関な踊りと思われている

理由でもあるのです。

 

社交ダンスを踊るには、社交ダンス独特のステップや運動表現を

記憶するだけでなく、私達の持っている身体の特性、そして男女が

互いにコンタクトした時如何にスムーズに意思の疎通を行うかという

基本的な知識を初級の時から学ぶ事が必要です。

私達の身体は外見とは裏腹の思いもしない身体の運動機能で

日常生活を行っているのです。

 

簡単な動作や単独で行う事は外見を真似る事で楽しめる事も

有りますが、外見とは全く違った運動機能で動いている事も

少なく無くて、テレビやメディアが外見的な動作でスポーツや

社交ダンスを紹介するのは、楽しむと言うより苦しむ事を

多くする原因ともなっています。

解剖学的な医学的な機能を知る事も大切かもしれませんが、

実際に、私達の身体はどの様に対人的対物的に機能しているか

の理解が足りず、一生懸命見た目の運動表現を重ねる事で

多くの方が直ぐに飽きたり諦めたり興味を失ったりしています。

 

身体は身体が欲する様に動くととても気持ち良く長く踊り続け

られるものです。

苦しみながら根性で身に付けると言うのは時代錯誤的であり、

その様な不自然な運動で身に付けた動作や知識は実際には

殆ど役に立たず、一人で楽しむ分は良いのですが、コンタクトして

踊るとなると途端にお相手に苦痛を与えトラブルの原因と成って

しまいます。

 

 

今や人と接触しない様にする事で益々人の心も身体も解らず

生きて行く上で苦しみとトラブルを生むだけの世界が広がって

います。

どんなに新型コロナが蔓延しようと、私達人間は互いにコンタクト

しながら成長し、文化を発展させてきたのです。

自分だけの思いでコンタクトすれば必ずやトラブルが生じるのは

過去の様々な苦悩の歴史が教えています。

 

家庭や社会に於いても如何にトラブルなく楽しい生活が送れるか

経済的な豊かさや持っている知識や能力で決まるものでは

有りません。

どれ程自分以外の人達の思いを感じ互いに楽しい思いが

出来るかが大きなカギを握っていると言えるのです。

知識や運動表現は、お相手の心と身体をしっかと理解して初めて

大きな力と成るのです。

 

お相手が伸び伸びと楽しく踊れる事は自分自身の喜びと成り

成長に繋がります。

多くの対人的な知識や経験は、自分の持っている能力を限りなく

発展させます。

踊り出す時先ず音楽をしっかりと取り込み、目の前のお相手の

心と身体を全身で受け止める事が出来れば、自分の身体も

自動的に苦労しないで楽しく反射的に動く事を知りましょう。