ラテンアメリカンダンスとスタンダードダンスは、音楽の
特性が違っているだけでなく表現法も大きく違っていて
衣装の違いも有って全く別の踊りの様に思えます。
中にはどちらかの種目は踊れても、他方の踊り方は
苦手としていて、プロであっても10種目すべての踊りを
理解し表現出来る方は少ないです。
しかしながら外見が違うからと言ってラテンダンスと
スタンダードダンスの踊り方が全く違っているのではなく
外見的な表現の方法が異なっているだけなのです。
他のスポーツと同じく、身体の中の運動伝達の方法は
変わるものでは無く、持っている運動機能の使い方は
社交ダンスと言わず日常生活に於いても変わりません。
車を運転する時、メカニックはどんな走り方をしても変わりません。
ただ、運転手の走る目的や車の動かし方のセンスによって変わり
車自体の性能は変わらないのです。
私達の身体は持って生まれた運動機能が備わっていて、いかなる
運動表現をする時も、表現法は違っていても身体の中の機能は
同じだと言う事を理解して欲しいです。
何故スタンダードダンスとラテンダンスが同じように楽しく美しく
踊れないかは、其々の外見的な違いを演じようとしている事に因り
自分の身体が如何に動き男女が互いにその機能で繋がっているか
と言う事が解っていれば、音楽を感じさえすれば其々の特徴の有る
素敵な踊りが踊れるのです。
大きな違いと言えば、ラテンダンスを踊る時、ハンドコンタクトで
やり取りが行われる事が多く、コンタクト面からの男女の繋がりに
幾つかの基本的なテクニックが必要な事です。
問題は、スタンダードダンスラテンダンスに関わらず、多くの方が
コンタクト面に対して直接力を加えて踊っている事であり、
二人の体重がリード&フォローで動いていない事です。
コンタクト面が広かろうが狭かろうが、踊っている時は常に
二人の持っている運動機能が全て動いている事が大切なのです。
ラテンダンスのハンドリードやフォローをする時も、手先の周囲に
力を込めるのではなく、コンタクト面は自分の運動をお相手に
伝える為そしてお相手の心と身体を知る為に使います。
スタンダード、ラテンダンスに関わらず、社交ダンスが思い通り
楽しく踊れ無い方の多くが、外見的な見た目のテクニックは使っても
実際の自分の全身の筋肉を繋げる運動を知らないのが問題です。
ほんの小さなコンタクト面で有っても、全身の筋肉が機能すれば
お相手に対してソフトで有りながら大きな力を与える事が出来ます。
例えば合気道のエキスパートは、相手の手先に触れた途端に
大男を投げ捨てる技を持っています。
投げられた方は、一体何が起こったのか解らず自分の身体が
中に舞うのに驚きと戸惑いを覚えます。
社交ダンスが上手な方と踊ると、ソフトで気持ちの良いコンタクトで
いつの間にかに自分の身体が楽しく動いているのを感じます。
コンタクト面を通して自分の身体が自然に動く様に働きかけられ
頑張って踊ろうとしなくともとても楽しく踊れるのです。
ラテンダンスに於いても、互いにコンタクト面を通じて自分の動きを
伝える事に依ってお相手の身体の運動を促す事で深い繋がりを
表現出来るのです。
私達は、とかく目に見えない事には無頓着で、見える事に囚われ易く
思い込みによって様々な失敗やトラブルを起こしがちです。
自分が考えて動かさなくても私達の身体は素晴らしい能力を持って
環境に敏感に反応できる様に成っているのです。
ただ文明の発達でその能力が使われれず、外見的な知識や考えで
自分の行動を決定しがちです。
誰もが素晴らしいセンサーを持っていて、その能力のほんの一部で
生活しています。
目で見えるものや様々な知識で対処する事で何でもできている様に
思いがちですが、実際に自分の能力で理解し反応してる事が少なく
自分の心との違いでストレスを感じ易いのが現代人です。
社交ダンスを踊る能力はあなたがすでに持っているのです。
自分を信じて、その思いが育ってくるまで五感をフルに活動させ
生活する事が大切です。
安易に作られた外見的な美しさや楽しさに囚われず、本当の
自分の心を満足させる事が出来る運動表現が出来る様にする事が
充実した人生を歩める方法と言えるのです。