社交ダンスは基本的に男女がコンタクトして踊る様に
作られていますが、お相手とボディコンタクトを行ったり
ハンドコンタクトを行う事が、単に互いにステップや
運動表現を行う為の手段と思っている方が多く、
教える立場の方も、社交ダンスの踊り方の説明として
その所作を教えているだけの事が多いです。
その為、コンタクトする行為が普段の生活に於いて
物を掴まえたり持ったりする時の感覚とあまり変わらず
自分の運動表現が如何にお相手の身体と心に大きな
影響を与えているかが解りません。
様々な方と踊る為にコンタクトして来ると、その多くの方が
ただボディや手を使って接触するだけで、踊り出すと
その接触面からは相手に対する思いが殆ど感じられず
自分が行うステップやルーティンに気持ちが多く傾き
コンタクトがただ意思のない接触と成っています。
社交ダンスを踊る時、お相手の運動能力や表現力が
コンタクト面から伝わる感覚で瞬時に解ります。
どんなに外見的に美しく踊ろうとしても、コンタクト面に
気持ちが注がれていなければ、その運動表現は
お相手に対してパワハラにしか成りません。
しかしながら、男女がお互いに自分の運動表現が
お相手にどれ程多くのストレスを与えているかが
解っていないペアがとても多いです。
上体が硬く成り、互いに意思の疎通が行われず
自分が記憶した運動表現を踊る事で夢中と成っていて
互いに社交ダンスと成っていないペアが少なく無くて
上手く踊れないのは、踊る為の技術の無さや運動能力の
至らなさと思っている事が多いです。
本当に素晴らしい踊り手は、外見的な美しさだけでなく
コンタクトして実際に踊ると、見た時よりも格段に素晴らしい
心と身体の思いが接触面を通して伝わって来ます。
男女が互いに其々の機能を使って思いを伝えるのですが
コンタクト面から豊かな感情が伝わって来る踊り手は、
踊っている時の間中まるで全身を抱かれている様な
安心感と優しさに溢れています。
リードしていてもフォローをしていても、常に快い懐に
抱かれている様で、心も身体も癒されている様な
思いに成ります。
この様なコンタクトが出来る男女は、踊れば踊る程
互いの心が幸せに満ち溢れ、本当の心からの笑顔が
にじみ出て来ます。
私達は普段から様々な物に接触して生きていますが、
特に手や指の感覚は生まれた時から研ぎ澄まされて来て
そこから伝わる脳への神経は他の身体の部分より遥かに
発達しています。
その為、触れるだけで様々な状況を判断できるだけでなく
脳からの指令を最も的確な方法で具体化する事が出来ます。
日常生活の如何なる運動にも関わる手や指は、目や耳以上に
素晴らしい感覚器官なのです。
社交ダンスを踊る時、互いにコンタクトして踊る上体の部分は
外見的な姿だけでなく、実際に社交ダンスの運動表現を
正しく生み出すとても大切な部分なのです。
出来るだけ多くの部分で接触する事でお相手の情報を
正確に知る事が出来るのです。
より多くの情報を得る事に依って、自らの持つ社交ダンスを
踊る為の様々なアイテムが正確に使え、更には、自分の思いが
反射的に思い通りの音楽表現と成るのです。
頭で考えるより遥かに早くお相手の事を知る事が出来る事で
その時最も相応しい音楽表現を生む事が出来るのです。
当然、お相手が変われば自分の踊りも反射的に変わるのです。
社交ダンスが誰とでも踊れる為の最も大切な部分でも有ります。
多くの方が、踊る為のテクニックやステップを覚える事が
社交ダンスを正しく楽しく踊る方歩と思っていますが、
多くの方が思い通り踊れない原因は、コンタクト面からの
互いの心と身体のやり取りを理解していない事に在ります。
美しい衣装を着て最高のステップを習い華やかなルーティンを
しっかり記憶したとしても、思い通り気持ち良く踊れない原因が
ここに在るのです。
一番大切なコンタクト面の周囲がお互いの思いの違いで
堅くなっていたり、更には崩れない様にと最初から固めて
踊っている悪循環の繰り返しの方がとても多いのです。
親しい人や恋人とハグをしたり握手をした時の気持ちを
考えて見ましょう。
誰もがとても優しく温かい気持ちでお相手を受け入れている
のが解ります。
社交ダンスは決して難しい踊りでは無いのです。
どれ程お相手の事を心から労り慈しむ事が大切で有るか
人間としての基本的な感情を育てれば、自然に求めるべき
満足できる踊りが踊れる様に成って来るのです。