社交ダンスが上手に踊れる様に成るには、数多くの
ステップや運動表現を覚えなければ成りません。
フィガーに依っても種目に依っも、更には音楽の種類
に依っても様々な運動表現が求められ、その全てを
身に付ける事は至難の業とも言えます。
その為、殆どの方がスタンダードダンスとラテンアメリカン
ダンスの基本的なフィガーすら覚える事は難しく、
かなりのベテランであっても、数種目の踊りであったり
スタンダード、ラテンアメリカンの一方だけの踊りを
繰り返すだけと成っています。
しかしながら、社交ダンスは10種目あり、流れる音楽は
その全てに当てはめる事が出来る事から、出来る事なら
音楽が流れれば何でも自由に楽しく踊りたいものです。
所が実際は、例え少ない種目しか踊れないとしても
思い通り踊れ無い方がとても多いのです。
上手く踊れない原因が、習ったステップやフィガーを
しっかりと覚えられないとか運動能力が足りないとか
踊り方が難しいと言った理由で、ステップを習っても
残念ながら音楽を楽しみながら踊るまでに至っていない
常に悩みながら踊っている方が実に多いです。
上手く踊れ無いと口にする方々からは、間違わない様
習った通り踊る事がとても難しく、練習しているのに
身体が思うように動かないと言う意見がとても多いです。
サークルなどでグループで踊っている方々の多くが
ステップの順番通り教えられたように覚える事に
苦労している方が少なくない様で、まるで
受験勉強をする様にその日に与えられたルーティンを
覚える事でお相手の事や音楽が全く入って来ないと
訴える方も珍しくありません。
昔から社交ダンスの難しさを、中々覚えられないとか
習った通り身体が動かないと言う方が多いのですが、
この言葉は、多くの方が、社交ダンスの全ての種目を
覚えるどころか、数種類の種目の基本的な運動すら
思う様に踊れていないと言う事実を表しています。
最初は音楽が流れれば思うが儘に踊りたいと思うのが
大方の思いと思われますが、実際習ってみると、
楽しく踊るどころかステップや運動表現を覚えるだけで
精一杯の方が殆どと言えるのです。
この事は、社交ダンスの輪を広げたいとする私達から
すると、由々しき問題と言えます。
社交ダンスを自由に楽しく踊りたいとするのに、
思い通り踊れないのでは、当然、多くの人達に社交ダンスの
喜びを感じてもらえないと言う事になるのです。
やはりこの問題は、生徒たちにあると言うのではなく、
教える側の問題が大きいと言えます。
まず大切な事は、誰もが自由に踊れる身体を持っているのに
動かない様な踊り方を教えている事です。
日常生活では不自由なく動けるのに、社交ダンスと成ると
途端に肢体が不自由と成ってしまうの困ったものです。
つまり、日常生活と同じ身体の使い方を習っていないのです。
また、ステップや運動テクニックは、身体の部分を動かして
演ずるのではなく、全身から繋がる筋肉の動きを伴って
外見的な運動表現に成っている事を教えられていません。
習う側だけでなく教える側も社交ダンスの踊り方を、極めて
特殊な部分動作で考えているのが大きな問題と言えます。
先生も生徒も、どちらも自分の身体が普段どの様に動いて
いるかの知識を身に付けていなければ成りません。
誰でも備わっている運動機能ですから、初心者で有ろうが
プロで有ろうが同じ運動表現である事を知りましょう。
自由に思い通り踊れると言う事は、この運動機能が正しく
使われていると言う事です。
また、この機能を思い通り使うには、自分以外の外界から
受け取る様々な情報に的確に反応する事が大切です。
音楽、お相手、周囲の環境等、その日その時の状況を
如何に感じられるかが重要です。
いつも習っているステップやルーティン、一緒に踊っている
お相手、更には流れる音楽に対して、どれ程新鮮に
感じられるかが大切です。
勝手知ったる踊りでは、自分の心が躍動する事無く
当然身体の動きは不自由と成ります。
知っている知識や運動表現であっても、踊る度に
その時自分はどの様に感じているかを自問する事が
とても大切です。
踊り方演じ方はあくまで習う為の例題に過ぎません。
自分が本当に感じて動かなければ、自分の身体も心も
楽しく音楽を演じる事は出来ません。
多くの方が覚える事が踊れる事と思っています。
知識は大切ですが、その知識が楽しい踊りになる為には
自分自身が心から豊かに感じられる事が大切です。
私達は日頃から周囲の人にも環境にも感動が薄れ易く
解り切っているとして心が躍動する事が少ないです。
その為刺激を求めて様々なイベントに出かけたり、
社交ダンスやスポーツなどで自らの心に刺激を与え
感動できる人生を送りたいとしているのです。
社交ダンスを踊る時もステップや運動表現を覚えるのを
目的とするのではなく、それらのアイテムを使う事で
自分の心により大きな刺激を与える事が必要です。
誰かの真似をするだけでは本当の喜びは得られません。
ルーティン通り間違いなく踊ったとしても、更なる新しい
踊り方を求めるだけで心が躍動する事も成長する事も
期待出来ないのです。
スポーツ選手も俳優も、彼らの魅力は感動を与えてくれる
存在だからなのです。
自らが演ずる時も、自分自身に大きな感動を与える事が
一番大切で有り、その為には、自分の頭の中の知識を
演ずるのではなく、目の前のお相手や音楽を深く感じ
持っているステップや運動表現を感動的に変える事が
とても大切と言えます。
その為には、自分の心と身体をお相手と音楽に繋げる
誰もが持っている身体の機能を習う事が大切です。
感動を得たいのに感動を失う練習の方法では、
習えば習う程ストレスが増すだけで、思うが儘に踊る
と言う夢は永遠に叶えられないのです。