私達は、時に、この世に生きていて良かった~!!と
思う事が有ります。滅多には有りませんが、心から
その思いを噛みしめる時が有ります。
圧倒的な大自然の美しさに遭遇した時、素晴らしい仲間と
喜びを分かち合った時等、その場に居る自分自身に
想像以上の感動を覚えます。
しかしながら、この様な喜びは滅多に味わう事が出来ません。
多くの場合、常に不満不安不信が伴い、心から喜べる事は
殆ど有りません。
常により素晴らしい豊かな生活を求め、現状に満足せず
先を目指す様に求められ、片時もその場に居続ける事を
許されない様な現代社会は、多くの人々にって幸せというより
息苦しい日常の繰り返しとも言えます。
そんな中、スポーツや芸術は、その苦しみから解放させ
感動と喜びの一時を与えてくれるのです。
長い道のりの人生の中で、喜びのカンフル剤として
多くの人々にとって無くてはならない物と成っているのです。
当然、社交ダンスは芸術的スポーツと言われるのですから
踊る事で心と身体が解放され、幸せに満ち溢れた日々を得る
最適の習い事と言えるのです。
所が、実際に踊ってみると、思いとは裏腹に、習えば習う程
知識は多くなるものの、自分自身が本当に楽しんでいるか
と言えば、多くのステップや運動表現を身に付けたから、
音楽に合わせて間違いなく様々なルーティンをこなせるから
上手に成っていると思っているに過ぎません。
お金と同じで沢山身に付ければ心から満たされるとは限らず
多くのテクニックやステップを身に付ければ付ける程、
益々それらのアイテムに拘束され、間違いなく踊る事が
社交ダンスを上手く踊ってる事と納得せざるを得ないのです。
実際、本当に楽しかったのは、社交ダンスがまだ殆ど踊れず
四苦八苦していた頃と言う踊り手も多く、外見的には素晴らしい
音楽表現をしている様に見えて、心の中は解放されず、常に
外見ばかりを気にしているペアも多くいるのです。
自分自身の求めていた本当の喜びと言うより、社会的に
喜んでいる幸せそうに見える演技をしているに過ぎません。
この世に生まれてきてよかった、と思える瞬間は、
自分の能力が発揮されたとか認められたと言う事よりも
自分自身がその瞬間に多くの人に認められ、素晴らしい
大自然の中に生かされていると感じる事が多いです。
つまり、自分が自分の能力を認めている時よりも
自分自身の存在価値や存在意味を人々や自然から
感じさせてもらった時なのです。
多くの方の不満は、自分自身の望みや能力を他の人に
認めてもらえず、自分は努力しているのに何故認めてくれない
また喜びを与えてくれないとする外界への不満です。
つまり、素晴らしい感動の元や中心は自分自身にあるとする
考え方です。
その為、自分を正当化する事から始まっている為、常に
周囲から否定される条件を生んでしまうのです。
私達は、喜ぶとき楽しむ時、その感覚の中心は自分の中にあり
自分自身が喜びを得る事に依って幸せを得られると思いがちです。
しかしながら、誰もが唯一無二の存在である事から、いくら自分を
主張したとしても、その主張を誰もが簡単に受け入れてくれる訳
ではないのです。
その為に、自分の考えを押し通す手段としてお金や権力を
欲しがるとも言えるのですが、その様な手段で自分の存在を
認めさせると、金の切れ目は縁の切れ目と言う様に、簡単に
不幸のどん底に落とされる可能性が高いのです。
では一体どの様にすれば良いのかと言えば、日常でも
社交ダンスを踊る時でも、音楽とお相手の素晴らしさを探し
求める事です。自分がその素晴らしさを見つけた分、自分の
心と身体は解放され喜びが溢れて来るのです。
お相手の良さを見つけたり、望む様に踊らせようとすると
当然お相手は心から喜びを感じ、最も素晴らしいパフォーマンスを
演じたくなるのです。
自分の思う様に踊らせようとしたり、お相手の運動にお任せの
自分の喜びだけを求める様な踊りをしている限り、いつまでも
満足できない、次から次へお相手を変えたり新しいルーティンを
探し求めたりする事と成りがちなのです。
自分の思いを認めて欲しければ、先ず、お相手の思いを認め
その思いがより豊かに表現できる様にサポートする気持ちが
とても大切と言えるのです。
いつも自分の事ばかり喋っている人や自分の考えを言わず
他の人の考えに迎合している人は、周囲の人から余り
好かれない様に、社交ダンスを踊っている時も、自分の事しか
考えられない方は本当に楽しく社交ダンスが踊れません。
お相手の素敵な所を探そうとしていると、その気持ちにお相手も
心を開いてくれて、リラックスしてコンタクト出来るのです。
音楽をお相手を、もっともっと好きになってその素晴らしさを
見つけられる様に成ると不思議といつの間にか自分の踊りも
魅力的になって来るものです。
例え自分がお相手よりもかなり上手に踊れたとしても、
その技術をそのまま使うと、お相手にとっては苦痛と成って
思い通りのパフォーマンスが出来ない事が多いのです。
社交ダンスはペアで作り上げる踊りです。
男女どちらも心から楽しく幸せになれる様な踊りを目指す事が
とても大切で有り、一番大きな喜びを得られるのです。