父と社交ダンス | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

私の父は来月に95歳と成ります。

さすがに足腰は衰え耳は遠くなり、

高齢者特有の姿と成りましたが、若い頃は

スポーツマンで有り、社交ダンスも自宅の部屋を

ダンスフロアーに改造するほどの熱中ぶりでした。

 

年末に成ると、会社の同僚を自宅に呼んで、

クリスマスダンスパーティを開くのが恒例でしたが

そんな姿に、私の社交ダンス嫌いはピークでした。

小学生が、親父が他の女性と踊る姿を素直に

受け入れられる程の広い心があるとは到底言えず、

大学生に成るまで、世の中で一番嫌いなのは

社交ダンスと思っていました。

 

そんな社交ダンス嫌いの私が、一生を貫く仕事として

社交ダンスを選んだいきさつはともかく、私の父は

いまだに母に対して愛情豊かである事を少し書いて

みたいと思います。

何処に行くにも、例え家の中でも常に見えるところに

いないと気が済まない父は、常に母が幸せに思う事を

一日中考えている様な人です。

 

どうしたら、母が幸せな人生を送れるかと言う事を

常に考えていて、その姿は傍から見ていても、

本当にラブラブといえます。

しかし、この何でも母が幸せに思う事をすることが

果たして母にとって幸せかと言うと、NO!なのです。

確かにやっている事は正しく理路整然と言えるのですが

母にとっては、幸せと言うよりも、はっきり言ってウザイ!

の一言なのです。

 

この事は、社交ダンスを踊るペアの中で、パートナーに

対して何でも良くしてあげようとするリーダーに見られます。

出来るだけ負担を無くし、少しでも華やかで美しいと

思われるステップやルーティンを使い、パートナーが

より美しく見えるように演出します。

 

しかし、この行為は、一見正しい様に思えますが、

常に正しいと思われる方法やステップを求められると

女子にとっては負担と成る事もあるのです。

外見的に綺麗に上手に見えるからと言って、女子は

その事のみを求めているのではなく、自分自身の

その時の感情や価値観を認めて欲しい事の方が多く

例え正しくともリーダーに決められると苦痛と成る事も

多いのです。

 

例え外見的に美しくとも、付いて行くだけで精一杯で

在ったり、ステップを踏むだけで音楽もお相手も

感じられない様では、本当に社交ダンスを楽しむ

と言う訳には行かないのです。

どんなに素晴らしい踊りでも、パートナーの心と身体に

負担と成る様な踊りを選択してはならないのです。

 

社交ダンスのマナーは、踊る事でお相手に負担を

掛けない事がとても大切なのです。

例え正しい踊り方であっても楽しいステップであっても

お相手が苦痛に感じるような踊りは控えるべきと

言えるのです。

 

親切の押し売りと言う言葉があります。

自分は正しいことをしていると思っていても、実際は

お相手にとって心と身体の負担と成っている事が

けっこうある事を知る事が大切です。

私の父も、しょっちゅう母の近くにいて、安全に気を付け

母の身体を気遣っていると思っていますが、母にすれば

少し離れて自由にさせてほしいと言うのが事実なのです。