素敵な音楽の中で、美しく演ずるエキスパートの
端正な上半身は、誰をも魅了します。
特に頭から指先に連なるなだらかなショルダーラインは
上半身の美しさの象徴とも言え、長く伸びた首と共に
豊かで美しい音楽を引きたてます。
しかしながら、まだ社交ダンスの経験が浅かったり
上手く運動表現が出来ない方は、二人で踊りだすと
途端に、肩が上がってしまったり、上体を変形させたり
してしまい、二人のパフォーマンスを損なったりします。
その為、多くの方が、両肩を引き下げたり、美しいと
思われる外見の状態で固定したりして踊っています。
所が、このような踊り方で美しいショルダーラインを
保とうとする方は、どんなに頑張っても、思いと裏腹に
上体が崩れる結果を生んでしまいます。
そもそも、美しいショルダーラインを作って踊れる
エキスパートは、ショルダーを下方に押し付けたり
固定したりして踊ってはいません。
初心者にイメージを持たせるために、両肩を下に
抑えるようにしてホールドを取らせることは有りますが、
これはあくまで初心者用の踊り方であり、音楽表現や
運動表現を正しく行うには、マイナスの行為と言えます。
多くの方が、社交ダンスを踊る時、外見的な姿を保ち
見たような運動表現を行えば、自分が望むような
美しい踊りが出来ると思っていますが、外見を
真似る踊りが社交ダンスの上達を阻んでいる事を
知りません。
美しいショルダーラインの作り方は、両腕の重さが
重力によって自然に下方にぶら下がっている状態が
基本の位置と成ります。
例え、スタンダードダンスを踊る時、ホールドの位置を
上方に上げたとしても、ショルダーの重さは、両腕を
ぶら下げた時と同じ重さを体幹に感じています。
つまり、腕を上にあげても肩は上がらず、見た目
腕が上方に上がっていても、両腕の重さは、
肩甲骨を通して下半身に向かっています。
また、上半身の運動表現を行う時、床から反射的に
戻ってきた力がショルダーを通して左右の空間に
抜けて行きますが、この時、両肩は、肩甲骨と共に
意志をもって上方に上がっていきます。
両腕を上方に上げる事もありますが、基本的に
片方の肩が意思をもって上方に演じていて
もう一方の肩は、重力に従って下方に降ります。
このボディの対角線上に伸びて行く力が、
両足の力を演技に変え、大きな下半身のスウィングや
歩幅を生みます。
ショルダーは、両肩を床に押し付けて踊っているのでなく
常に左右どちらかの空間に下半身の力が抜け
全身が繋がった美しいショルダーラインを作るのです。
その為、踊るたびに肩の力は空間に抜けて行くように
演じられるため、両腕を上げて踊っているように見えて
ショルダーの重みは常に体幹で支えられ、上体に
無駄な力が入りません。
社交ダンスを踊っていて、肩や首が凝ってしまったり
直ぐに疲れてホールドを上げていられない方は、
両腕の重さを肩の周囲筋で持ち上げているから
なのです。
一曲踊るだけで両肩が緊張することは無く、
両腕の動きは、歌を歌う様に生き生きと音楽を
表現することが出来るのです。
なお、この踊りは、二人共に、踊り方を理解して
いる事が重要なのは言うまでもありません。