野球やテニスを行っていると、振り遅れと言う原因で、
上手く球に当てられない人が多いです。
都内各地で、何処にでも見られるテニス教室風景は
そんな振り遅れの生徒で一杯です。
上手くボールに充てるには、かなりのキャリアが必要で、
ただ、思う所にボールを打ち返すだけで一苦労です。
この光景は、正に、社交ダンスのグループレッスンを受けている
アマチュアの方に多く見られる姿であり、音楽リズムに常に遅れ
スムーズな運動表現が出来ていません。
ボールは、すなわち、流れて来る音楽と同じであり、その中の
リズムに対し、的確に音楽表現が出来るかどうかが、社交ダンスを
楽しく踊れる条件と言えます。
テニスや野球でボールを打ち返す時、まず、バットを振る前に、
ボールの流れとコースを見極めなければなりません。
社交ダンスもこれと同じく、ステップを踏む前に、常に、音楽の
メロディーを感じ続けなければなりません。
そして、ボールが手元来る少し前に、ステップが踏み込まれ
両足の間に身体の中心がある様にします。
これが、社交ダンスのリズムを取る時の前のリズムで行う
リーディングステップと成ります。
両足が広がった瞬間、上半身の回転運動で、バットやラケットが
振られ、目の前にボールが来た瞬間、インパクトが行われます。
つまり、ステップが前後左右に準備された瞬間、上半身の
ローテーションで体重の移行が行われ、次の立足に重心が
集まります。野球で言えば、快音をとどろかせてボールが
飛び出して行くところで有り、社交ダンスでは、立ち足の上で
強いプレスアクションとボディスピードが生れ、見た目、
シッカリとしたリズムが感じられるのです。
野球やテニスでいえば、思い通りにボールにバットやラケットが
当たって、ボールが力強く飛んでいくところです。
つまり、音を取るタイミングは、バッテングやテニスのショットと
同じ原理なのです。
ボールに当たる音楽リズムを聞いてからステップを動かし
体重を乗せていては音楽に送れる事になるのです。
多くの方が、足形にリズムがあると思っていますが、足形を
説明する時のリズムは、教える為伝える為の便宜上の物であり
そのステップが体重を支えてい間に、その他の部分全てが
同じリズム説明をしなければならず、他の部分が止まってしまったり
固定されているのが初心者や上手く踊れ無い方の踊り方です。
音楽の良く聴いてみても、スローと言う言葉も、クイックと言う言葉も
1,2,3と言うリズム説明も有りません。ただ、踊る為の目安として
足形に対してリズムを当てはめているのです。
その為、様々なカウント説明リズム説明を受けた時、その説明の
真意を理解していないで、言葉のリズムを覚えても、役に立たない
のです。
スロー、スロー、クイック、クイック、と言われれば、その様な言葉の
運動があると思ってしまい、言葉の解釈で、ゆっくり、ゆっくり、早く、
早く、と自分なりの音楽表現を作ってしまうのです。
この事は、たとえプロがコーチャーからレッスンを受ける時も、
コーチの言う言葉が、身体のどの様な運動を示しているかを
理解していないと、言われたリズムやステップ説明を踊り方と
してしまうと、音楽とは違う、知識の踊りと成り、やはり
身体が思う様には動かないのです。
この事は、英語で、アップルと言う言葉を聞いて、英語のスペルを
思い浮かべるか、実際の赤いリンゴを思い浮かべるかの違いと
同じであり、説明の為の単語のスペルを覚えても、本物のリンゴが
頭に浮かばなければ、相手の思いは伝わらないのです。
社交ダンスに於いて、多くの上手と言われる方は、沢山のステップの
名前を知っていたり、テクニックの方法を知っていますが、
残念ながら、踊る印象が、其々のステップや動作になっているのが
問題です。
本人にしてみれば、正しいフィガーのステップと運動表現を
しているから、相手に伝わると思っていますが、その時、
自分の身体が、伝える為の運動表現を行っていないと,
相手には何の意思も伝わらないのです。
その為、多くの方々は、ルーティンを覚え、順番を覚えなければ、
一緒に踊れず、例え美しく踊っている様に見えて、其々が自分の
知識と踊っていて、コンタクト面は、いつも緊張が無くならず、
コンタクトする事がストレスとなるのです。
社交ダンスを踊る男女と言うのは、手の平に触れれば、腕に、
腕に触れれば身体に触れたくなるものなのです。
それは、男女と言うよりも、触れる事に依ってお互いに相手の事を
想う為、よりその気持ちを感じたくなるものです。
いわば、常にお互いに魅かれ合っている恋人同士の様なものです。
恋人同士と言うのは、いつも相手に喜んでもらいたいと
気遣うものです。
そして、触れあう事で、相手の気持ちをより深く知り、
愛情を感じるのです。
社交ダンスは、たとえ他人と踊るとしても、お互いに相手の事を
気遣う事で、其々の技術が助け合って楽しく踊れるのです。
身体をコンタクトしていたとしても、気持ちが自分の事で一杯では
コンタクト面は、格闘技の敵同士と同じに成ってしまうのです。
同じように身体を接触していても、格闘技と社交ダンスは
全く違うのです。
しかし、見た目は、社交ダンスでも、中身は格闘技の状態の方が
実に多いのです。
コンタクト面でお互いがどの様に意思を伝え合うかは、初心者から
プロのベテランまで、一番大切な事と言えるのです。
本当に素晴らしいテクニックや運動表現は、男女が如何に
お互いを認め合い助け合うかによって生まれるのです。
ステップが上手く踊れなかった、リズムが合わなかった、
ルーティンを間違ったと、反省される方が多いですが、その原因は、
多くが、二人の関わり合いにあるのです。