果たして、自分の踊りは、相手に喜ばれているだろうか? | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

競技会やデモンストレーションを見ていると、多くのペアが

満面の笑みを湛えながら踊っている事から、社交ダンスを
踊れば、誰もが、幸せな気分になれると思ってしまいます。

特に、社交ダンスを踊った事の無い方は、その外見から
自分もあのように美しく踊れたら、とても幸せに成れるのでは
と思うのです。

しかし、いざレッスンを受ける様になると、想像とは全く違って

笑顔で踊るどころではなく、自分の足形や相手に付いて行く

ただそれだけで四苦八苦と成ってしまい、幸せそうに見えた
あの美しい踊は、夢のまた夢と成ってしまう事が多いのです。

また、周囲のペアを見ても、いつも笑顔でいるとは言えず、
練習中は、おでこにしわを寄せて、不満そうな表情が

目に付きます。


所が、そんなペアも、一度踊り始めると、途端にそれまでの

表情が別人の様な笑顔です。

社交ダンスを始めたばかりの人達にとって、上級者たちは
二重人格なのではないかと思えるほどの変貌ぶりです。
あの満面笑みのパフォーマーは、実は、裏では,あのような

不機嫌そうな顔なのだろうかと、疑ってしまいます。

 

この事は、決して珍しい事ではなく、多くのペアたちが、

人前で演ずるときと同じ笑顔で普段生活しているとは

言えないのです。

ならば、踊っている時は、無理に、笑顔を作っているのか
と言えば、イェス!と言ってみたくなるのが残念です。

 

本当は、踊っている時、心から幸せな気持ちで、自然に

笑みがこぼれて来なければいけないのですが、
多くの踊り手が、そうでないのが問題です。

つまり、一生懸命、楽しそうに見せなければならない現状が

多くあるのです。

社交ダンスをあまり知らない人や、外見だけを真似して

踊っている人は解り辛いかも知れませんが、日本人の

多くのペアが、一生懸命、楽しそうな演技を作っているのが
事実です。

 

この問題は、ペアの技術の問題でも、ステップや運動表現の
難しさの問題でもなく、自分が踊ろうとしている事と、

お相手が踊ろうとしている事がせめぎ合いをしているにも

関わらず、顔だけを笑顔にしている不自然さなのです。

長く社交ダンスをしている人やプロの先生には普通でも

感受性の強い人や若者達からすると不自然さが目立ち
いわゆる、キモイ!という印象なのです。


社交ダンスは、お互いの事をシッカリと理解した上での
2人が創り出す音楽表現ですから、二人にとって

違和感が有ってはならないはずですが、笑顔にも関わらず

二人の間に目に見えない壁が感じられるペアが多く、
2人が自分の頭の中の確認作業をしているのが問題です。

 

つまり、自分を基準としている事から、コンタクトしている

目の前のお相手から伝わる運動表現は、自分の気持ちを
踏みにじるものであって、不快であるはずなのです。

しかし、普通ならば、コンタクトを振り解き、さっさと

反対方向に帰って行くのはずなのですが、二人のコンタクトは

常に不動で有り、しかも、二人の顔からは笑みがこぼれます。

これこそ、社交ダンスの怪ともいえる現象です。

 

そう、二人は、必至に我慢して踊っているのです。

笑顔で、コンタクトを崩さず踊る事が社交ダンスと思い

その様に習って来たからです。
しかし、そんな辛い事を男女がして楽しいのでしょうか。
社交ダンスは、難しくて、中々踊れないと嘆く人は、

能力がないのではなく、本当の踊り方を知らないのです。

 

まず、何故、相手に喜ばれる踊りを習わなかったのでしょう。
この事は、男女共に言え、踊る為の道具や手段ばかりを習い
肝心のお相手との踊り方を習っていない方が実に多いのです。

どんなに自分の足形をシッカリと習い、運動表現を習っても

自分の為のテクニックや運動表現では、お相手の方にとって
不快でしかないのです。

 

多くのベテランと言われる方々は、自分の思い通りに成らない
自由に成らない自分の身体は、自分の能力や知識や練習が

足りないと思いがちですが、残念ながら、間違った事をいくら

練習しても、思い通りの踊りに成る訳がないのです。
つまり、多くのペアが、思い通りに成らず、常に崩れる身体や
ホールドを力をもって見た様に固定して踊っているのです。

ドレスアップして満面の笑みを浮かべているペアの心の中は

現実の踊りと自分の心が葛藤をしていると言えるのです。
しかし、こんな見た目だけの踊りは、社交ダンスでは有りません。

普段の男女の生活と同じく、お互いを理解した結果の
運動表現であり笑顔でなければならないのです。

 

例え、目の前で踊っている方が、笑顔を浮かべていたとしても

それは、無理に作っている可能性も高いのです。
目の前の方が、心から笑顔で踊れる踊りを目指す事が大切で

自己満足で踊っていると、仕方なくお相手をしてもらっている
可能性があるので要注意です。