競技ダンスやデモンストレーションダンスを見ていると
男女が後方に大きく頭を遠ざけて踊っている様に見え
印象通り踊れば上手に踊れると、常に頭を後方に
引っ張り、上体を反らせながら踊っているペアが
少なくありません。
その様に見えたからと言って、上手に踊っている方の
外見を真似てばかりいると、いつまで経っても思い通りに
音楽表現が出来ず、習ったテクニックや運動表現を
確認しながらしか踊れない苦しい踊りと成ります。
上手に踊ると言う事は、習った技術やステップを
間違いなく踊れた時と思っている方が多く、自分の頭の
記憶の確認作業をしている方が少なくありません。
いつも自分と話していて、目の前のパートナーや音楽は
全く入って来ません。
特に、外見的印象として、上体を大きく後方に反らしている
イメージが強く、その姿を自分に当てはめて踊ろうとしている
女子が目立ちます。
また、男子は、やたらと首を上方に伸ばして、ホールドを
まるで鉄棒の様に固めている男子が目立ちます。
この外見的な踊り方は、多くのデモンストレーターが来日し
その外見を真似ていた1960年代から80年代の踊りであり
日本人が欧米の踊りを真似て踊っていた頃の踊り方です。
彼らも、レッスンをするたびに、日本人に、その様にして
踊っていないと説明するのですが、当時の日本人は、
どうしても見た目でしか理解出来ず、その影響は、いまだに
ジャパニーズダンスとして残っています。
現代のアマチュアの方の踊りも、その傾向が強く有り、
更には、外見的なレッスンを中心とする先生が多い事も
社交ダンスを難しくしている原因と言えます。
男女が大きく上体を遠ざけている様に見える、スタンダード
ダンスにに於いて、実際に思い通り踊っている方々は
ボディのコンタクト面で、お互いに、右斜め前に立つ相手と
やり取りをすると、その時の運動表現や重心の動きによって
様々に上体が反射的に遠ざかるのです。
お互いに相手の動きを探る為、ボディの中心を向け合うと
上体の回転を伴う事から、二人の上体が対照的に大きく
後方に残るのです。
基本は、脊椎バランスを感じる、重力に対する垂直の
体形であり、頭骨が脊椎を通して踵までのバランスを
感じようとすると、重心点を含むボディがパートナーと
やり取りをした途端、外見的に反って見えるのです。
下敷きを立てて、真ん中を指で押してカーブを作る原理と
同じでなのです。
基本的に、エキスパートになれば成程、意識的に上体を
反らせて踊っては居なくて、パートナーとのボディのやり取りで
その外見的な姿が生れるのです。
また、女子に多い頭骨の使い方が、より上半身の広がりを
見せようと、頭を意識的に男子から左方に遠ざける方がいて
脊柱が左に捻じれている方が多いです。
ダンスを踊る方の特殊な体形として、普段でもやや左に
傾いている方も居て、不自然な運動表現で、大切な脊椎を
変形させる原因と成っています。
頭の中心の動く方向は、自分の支えた踵の指す方向にあり
どんなに大きな上体の表現をしていても頭の中心が進む方向は
踵の方向に支配されている事を忘れては成りません。
自分の身体のバランスを感じる時、後頭部の向いている方向と
踵の方向が同じであることは、バランスを保つ為に大切です。
例え、真横を向いていたとしても、頭の重みは、踵の方向に
感じる事が大切です。