ボディコンタクトの誤解 | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

スタンダードダンスを踊っているのを見ると、ペアがお互い
ボディを着けあって踊っている様に見えます。

両腕で相手をホールドし、同じステップを間違わない様に
音楽のリズムに合わせながら演じている様に見えます。

この様な姿を見ると、同じような動作や形を真似すれば

同じように踊れると、多くの方々が思い込んでいる様に
思えます。
期待に胸を膨らませ、レッスン場に通い、様々なステップや
上体の音楽表現を習いますが、どんなに記憶しても、

見た姿通り真似をしようとしても、実際は、思った様には

踊れ無いのが現実です。


外見と実際の運動には、大きな隔たりがあり、社交ダンス
のみならず、あらゆるスポーツに於いて、この違いを

理解しない限り、自分が感動した演技は出来ないのです。

社交ダンスに於ける見た目と実際の踊りの大きな違いの1つに

男女のボディコンタクトが有ります。
誰もが、疑いもなく、男子と女子がお互いに、身体の接触面を

近づけ合って踊っていると思いがちです。

しかしながら、二人の接触面に対する感覚は、二人の役割上

全く違った意味合いがある事を多くの方は知りません。
例えキャリアが10年以上ある人であっても、残念ながら
ボディコンタクトの意味を間違って解釈している事から、
長きに渡って、技術上達が阻まれている事を知りません。

 

確かに、社交ダンスを踊ろうと男女が身体を接近すると
多くのペアが、お互いの身体を接触面へと動かします。
この時、お互いが離れたりずれたりしない様にと、

しっかりとボディを固定しようと、両腕の力で相手を
引き寄せようとするペアもいます。

左右の腕は、自分の後方へ引かれる事で、より一層

ボディの部分が相手に接触する事となります。
この時起こる現象が、お互いの胸が接触し、上体が
近づき、いわゆる前傾姿勢となります。
しかし、この体形では、さすがに見た目も悪く踊れません。

お互いに,接触する時、両手を後方に引きながら、

しっかりと、上半身を反り反って形を作ります。
これが、踊れ無い方々に多く見られる踊りです。


お互いに近づこうとすると、上半身が近づくものの
下半身、特に下半身の重心部分は、お互いに遠ざかり
いわゆる、腰が抜けた状態、となります。
ボディを近づけようとする行為が、胸を近づけ、上体を
固定してしまう原因となります。
いわゆる、相撲取りが、お互いにマワシを引きつけ合い

胸を着けて硬直状態となった姿と同じです。

例え、力任せに上体を作ったとしても、それは、すでに
社交ダンスではなく、格闘技の世界となってしまうのです。
美しく着飾った踊り手の多くが、相撲や柔道と同じ運動で
苦しみながら、顔だけを笑顔にしているのは、とても
可哀想で、到底、踊りの素晴らしさを見ている人に

伝える事は出来ません。

 

男女が、踊る為にお互いにコンタクトを取りに接近した時
すでに、踊りの良し悪しが決まっていると言ってもいいのです。
様々なコンタクトの方法が有りますが、基本的に、男子の
立ち位置に女子が近づいて、ホールドを取りながら、

二人のコンタクト位置を決めます。

このコンタクトした瞬間に、二人の技術が生かせるか、

はたまた、格闘技となるかが決まります。
見ている人は、女子が、男子の身体に身を寄せて、
男子のバランスに自分の身体を委ねている様に
見えますが、これは、観客側の勝手な推測です。

実際は、女子は、男子と、上体でコンタクトした後、
必ず、自分の脊椎の位置まで、バランスを戻します。
つまり、男子に、目の前の女子の存在を感じさせたら、
直ぐに、どちらかの足のカカト側、つまり、脊椎側に
バランスを戻し、自らのバンスの位置を相手に教えます。

男子は、コンタクトを取りながら、相手の、背中側の位置を
感じて、自らの立ち位置を変えます。
男子は女子の背中のバランスを中心に感じるため
自分のバランスは背中側で取るものの、女子の背中の
バランスを感じようとして、多少、前方バランスとなります。

バスケットボールでドリブルをする時の様に、ボールを

スムーズに動かすために、ボールの動きを中心とした
バランスにしているのと同じです。


女子は、相手とコンタクトを取った瞬間、自分の上体の
周囲全体を包むような男子のコンタクトを感じます。
アマチュアの多くの方の間違いは、コンタクト部分に

運動の中心を感じる為、お互いに反る事に依って、
バランスを作ろうとしている事です。

男女共に、後方に大きく反りかえった、いわゆる、

アサガオの花のような踊りをしている場合が多いのです。
特に、技術が無いペアは、自分の事で精一杯なため
自分のバランスと演技に夢中で、大きく反りかえった
見苦しい踊りとなっています。

二人の運動に依り、二人の繋がりが、運動の法則により

自然で大きなバックポーズを生むのであって、最初から
後ろにのけ反っている姿は、見苦しいものです。

男子のリードは、女子を自らのバランスで立たせ、
更には、女子としての音楽表現をさせるために、
バランスを失う、プルやプッシュは、極力控えなければ

なりません。
お互いの体重がコントロールされながら移動する事で

相手に対し、どの様に動くかが自然に伝えられ、
腕力や脚力で意識的に踊るより、はるかにパワーアップした
美しい音楽表現が得られるのです。


コンタクトと言うのは、お互いの体形、音楽の感じ方、
運動表現の感じ方で一人として同じものは有りません。
二人にとって一番踊り易いコンタクトを見つけることは、
ステップを覚える以上に大切です。
一生懸命踊っているのに、頑張って身体を動かしているのに
一向に二人の踊りの上達が感じられない時、そのほとんどが
自分以外の人の踊り方や、外見的な踊りをしている場合が多く

一日も早く、目で見えない大切なテクニックをを習われる事を
お薦めします。