力強い筋肉は、反射的に使う | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

私たちの身体の中には、大きく分けて、随意筋と不随意筋が
有ります。
基本的に、随意筋は自分の意思で動かす事が出来、不随意筋は
私たちの意思に関係なく動くものです。

スポーツをするにあたって、筋肉のトレーニングと言えば、
この随意筋をトレーニングする事と成ります。
社交ダンスを踊る時も、この随意筋が大きく発達していると
運動表現が豊かに出来る事も有り、多くの方が、踊る為の練習として
筋肉トレーニングを取り入れています。

おりから、テレビなどのメディアを通じて、鍛えられた筋肉美が
あらゆるスポーツに於いて強調され、社交ダンスに於いても、
身体を鍛える事がいかに重要かであるかが認識されています。

その為、踊るだけでなく、ジムに通ったり、自己トレーニングを
したりして、多くの方々が、より豊かな表現が出来る事を
目指し頑張っています。
しかしながら、しっかりとパンプアップされた筋肉を持てば、
スポーツや社交ダンスは、上手になるかと言えば、そうでもないのが
面白いところであり、悩ませるところでもあるのです。

この、身体を作る事に依り、様々な身体のパーツを意識できる事が
実は、社交ダンスで、様々なテクニックを覚え、足形を覚える事が
上手になると思っている方と共通のトラブルを生むのです。

つまり、各部分に意識が行くことで、その部分を動かそうとする事で
反射的に行う、全身を繋げる運動を無くしてしまうのです。
力強い筋肉も、様々なテクニックも、美しい表現を創る為の
道具であり、その使い方は、相手と音楽と、その時の環境によって
反射的に変わるものです。

21世紀と成って、益々情報が簡単に手に入れられるようになって、
社交ダンスも、様々なテクニックや足形を覚える方が増えています。
まだ、足元もおぼつかない、表現とは程遠い技術の方が、
プロでも苦労するルーティンを踊っていたり、見た目だけの技術で
表現をしようとしているペアが多くなりました。

ステップやルーティンに振り回され、ペアで踊っているはずなのに
二人共自分の事で精一杯と言う方がかなり見受けられます。
自分の記憶通りしっかり踊っているから、上手になったと思っている
格闘技の様な踊り手も目立ちます。

力強い筋肉は、二人の踊りを助け、よりスムーズにお互いの踊りを
 豊かに演出するものでなければなりません。
その為には、動かす筋肉は、出来るだけ、反射的に、的確に
その日の二人の表現に相応しい運動を行わなければなりません。

どんなに知識が有っても、どんなに身体が力強く動けても、
音楽と相手を感じ取った結果、反射的に生まれるものでなければ
二人が望む理想的な踊りとはならないのです。

沢山の知識、テクニック、表現は、二人の思いを具体的に表現して
見ている人達に、その時の音楽として感じさせなければ
ならないのです。
観客にとって、聞こえる音楽が踊るペアそのものでなければ
ならないのです。
二人が覚えて来たテクニックや足形の説明ではないのです。

男女がコンタクトして踊る社交ダンスは、音楽的センスと
対人センスが、いかに大切で有り、習得した技術やステップが、
生きるかどうかは、二人の心の想いが決定するのです。