社交ダンスには、基本的に、スタンダードと
ラテンアメリカンの踊りが有り、その種目は
それぞれ5種目づつあります。
各種目には、様々なステップやフィガーが有り
全てをマスターしようとすれば、膨大なる時間と
費用が必要と成ります。
その為、社交ダンスを習おうとすると、長期に渡る
努力が必要であり、全ての踊りをくまなく理解し
楽しく表現する事は、思った以上に大変です。
しかしながら、熱烈なファンは、連日努力を重ね
沢山の技術を覚え、数々のフィガーを覚え、
少しでも上達する為に頑張るものです。
時間を掛け、大金をつぎ込み、しっかり覚えた時、
多くの人々は、まるで羽が生えた様に自由に
踊ることが出来ると信じて疑いません。
長くなれば10年以上、それ程にも努力すれば
必ずや思い通りに踊れるハズです。
そう、私もそう信じたいのですが、残念ながら
殆どの人が、連日ままならぬ踊りと、相変わらずの
思い通りにならない自分の身体に苦労しています。
中には、自分よりずっとキャリアの無い人達が
楽々と踊っている様を見て、落ち込む事すらあります。
そんな時、自分は才能が無い、運動神経が無いと
頭を項垂れ、楽しく踊ることを諦めてしまうのでしょうか。
今までどれ程沢山のこんな苦しみを見て来たでしょう。
言われた通り、見た通り、しっかりと踊っているのに
全く思う様に踊れない苦悩は、社交ダンスをする方に
共通の悩みと言えます。
沢山の種類のステップを覚え、どんな曲でも踊れるのに
実際の自分の身体は、想像より遥かに動きづらく、
練習を積んでも思い通りにならない人が多いです。
こんな方々の共通の傾向、それは、自分の身体の
性質、つまり、運動の方法が全く分かっていません。
外見的に見えた印象で身体を動かす為、その時の
印象で毎回運動が変わり、自分の身体の機能が
全く使えていないのが現状です。
社交ダンスは、特別な運動ではなく、他のスポーツと
共通の動きが多く使われます。
ただ、気を付けなければならないのは、格闘技の様に
パートナーが常に至近距離にいる事です。
一人で踊るならば何でもない事が、二人になると、
上手になるどころか、更に、問題が増す方が多いです。
社交ダンスは、対人的なスポーツに於いて、最も
正確に身体の機能が使えないと踊れません。
つまり、二人の運動は常にお互いに関わり合い、
どんな小さな踊りも、相手の身体と関わって動かないと
たちまち身体が硬直し、音楽表現とは程遠い、硬くて
不自然な動きと成ってしまうのです。
御互いに、体重が関わった時、どの様に身体を使うのかが
理解で来ていないと、常に上半身は硬く固定されるのです。
それ故、身体の使い方の基本を知っていないと、どんなに
上手な人を真似ても、間違いなく記憶しても、実際の踊りは
社交ダンスと程遠い、格闘技に近いものと成るのです。
基本と言うと、初心者が習うものと思われる方が多いですが、
それは、日本の多くのレッスンが、足型や形、運動の順番を
教える事から、簡単な動作を基本と思い込んでいるからです。
基本の運動は、全てのスポーツと共通であり、社交ダンスの
十種目すべての踊りを作っている基本の運動でもあります。
多くのアマチュアの方が、足型や上半身の形、ルーティンに
力を注ぎますが、基本を知っているプロやエキスパートは
練習のほとんどが基本的なやり取りと運動に終始します。
この運動を知っていると、ゴルフも野球も、相撲も、サッカーも
全てのスポーツ選手の運動の中身も理解できます。
何年何十年社交ダンスを行なっても、自分の踊りに
自信が持てなかったり、二人がしっくりと踊れない時は、
自分の身体がどの様に動いているのかを知らないからです。
基本的な身体の動きが出来ると、音楽と相手の事を感じれば
自分の身体は、反射的に一番的確な踊りをするものです。
記憶力に頼らなければならない踊りは、楽しい踊りにも
芸術的な表現も産みません。
素晴らしい踊りは、自分の中から生まれ育ってくるものです。
知識として覚えた技術から卒業され、世界に一つだけの
自分だけの表現を目ざして下さい。