社交ダンスは、大人から子供まで、誰とでも
楽しく踊れる、世界共通の踊りです。
その為には、相手が変わっても、誰とでも
楽しく踊れることが必要です。
ところが、長年、多くの方々をレッスンしていると
特定の人としか踊れない方が、実に多いのに
驚かされます。
特に、キャリアが有ったり、長年踊っていたり
コンペやデモの経験者程の方々にその傾向が有り
社交ダンスとはとても言えない踊りが目立ちます。
とは言え、個人的な技術は、キャリアが有るだけ
かなりの知識量であり、様々なステップを使って
踊ることが出来ます。
しかし、その踊りは、非常に硬く、音楽性に欠け
とても楽しいとは言えないのが現状です。
しかも、様々な種類のフィガーを使っても
足型は間違わず、身体の崩れも無く、更に
表情は明るく、見た目本当に楽しそうに踊っていて
一体どんな気持ちで踊っているのか、不思議で
なりません。
でも、こんな気持ちを抱かせる方が殆どであり、
日本人の踊りは、これなんだと思わせる程
多くの方に共通の踊り方です。
いったい、何がいけないのでしょう。
ステップを間違うではなく、ホールドが崩れて
変形するでもなく、表情も明るく、これで
充分と思われる方も多いのかも知れません。
もし、これが、40年前の日本ならいいと思われます。
何しろ、当時は、プロでも殆ど同じ質の踊りでしたから。
大切な事は、一人で踊る踊りと、二人で踊る踊りは
運動の基本が大きく違ってくるという事です。
男子が男子の足型、ホールド、ボディワークを作り
女子が女子の足型、ホールド、ボディワークを作ると
二人の踊りは、外見は美しく見えても、動き出すと
非常に不自然な運動になってしまうのです。
この、二人がお互いに自分を主張したのが
柔道、相撲といった格闘技です。
社交ダンスは、一人で踊るよりも、二人で踊ると
より大きく、柔軟性と表現力が増すものです。
何故なら、御互いに、相手がより表現できる様に
助ける様に踊るからです。
相手が何をしたいのか、どの様に表現したいかが
感じられるから、御互いにその気持ちを更に高め
より豊かな気持ちに成るようにエスコートしてるのです。
その為、組んだ相手の体格、性格、身体の使い方により
自分の運動も工夫しなければいけません。
普段の人間関係と同じで、どれだけ相手の事を考え
相手の喜ぶ事が出来るかが、その踊り手の技量と成り
大人としての度量を表します。
自分の事だけしか考えられない踊りは、社交ダンスとは
言い難く、やはり、笑顔の格闘技と言えます。
当然、格闘技は、相手が望む事は考えません。
誰しも、相手に嫌な思いをさせていると思っていないのですが、
自分の主張ばかりしていると、相手は、どんどん硬直し
その結果、自分が余計な力を使わなければならないのです。
二人で踊る基本と言うのは、決して難しいものではなく、
ヨーロッパの子供達は、踊る時に、ステップよりも、
自分の運動が、いかに相手に嫌な思いをさせるかを学びます。
自分が楽しくても、相手にとっては、苦しい事も多いのです。
社交ダンスは、踊れば踊るほど、相手の誠意を感じるのが
ベストとも言えます。
それ故、最高のスタイルとテクニックを持つ踊り手よりも、
最高に自分の事を考えてくれる踊り手が一番なのです。