アンチエイジングにならない社交ダンス | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

スポーツと共に、中高年になって社交ダンスをする事は
アンチエイジングに繋がり、健康にとても良いと思われ、
多くの高齢者が毎日練習に励んでいますが、実際は、
差ほど効果が無く、かえって、身体の衰えを促進して
身体に大きな負担を与えている事が有ります。

しかしながら、私達プロからすると、これ程、高齢者にとって
若返る為に効果的なスポーツは無いと言いたいところですが、
残念ながら、その思いも、なかなか伝わらず、外見だけ
華やかで元気そうに見えるだけの踊り手が多いものです。

一体何がいけないのか、社交ダンスをすると、誰もが
活発になり、社交的になり、心肺機能も高まり、良い事ずくめ
の様に思いがちですが、それは、あくまで、外見的に見える
表現の結果であり、身体にとっては、かなりの負担が掛り
筋肉や神経を痛めつけている事も多いのです。

先ず問題は、御互いに、数十キロ有る体重と関わりながら、
ホールドの力と、ステップの順番で踊っている事です。
二人の重さを合わせれば、100キロ前後となる身体が
至近距離で、ボディの重さは同調せず、ホールドの強さで
御互いの位置と形を決め合っている事が問題です。

特に、二人の身体がコンタクト出来ないペアのホールドは
まるで鉄棒の様で、スポーツに於いて、上半身をこれ程にも
固め続けている種目は有りません。
当然、心臓と肺には大きな負担が掛っていて、ダンスの曲が
短い事で助かっているものの、もし、数十分連続で踊れば
心筋梗塞や心臓発作にもなりかねません。

エキスパートのホールドは、御互いの運動を伝えあうものであり
いつも柔軟性を持って、音楽と共に柔らかく、全身の運動と
関わり合って動き続けています。

また、足型に神経が行って、ステップを動かそうとしている方は、
感覚が、両足になくて、意識的に動く足が交互になり、左右の足が
バラバラに動いてしまいます。

すると、左右の足が上半身の重さを上手くリレーできないで、
股関節、膝、足首と言った関節部分が硬くなり、スムーズな
スウィングが出来なくなってしまいます。
その為、常に、上体は片足に停滞するようになり、足の負担は更に
大きくなります。

ただでさえ、下半身の衰えが目立つ中高年が、片脚ずつ体重を乗せ
まるで山を登る様に、交互に足を動かしていれば、当然関節が
悲鳴を上げるのは時間の問題です。
そんなにも影響の大きい体重を、御互いに助け合って演技に変えて
行かなければならないのに、二人が別々に動く事により、
まるで格闘技の様な状態になるのです。

当然、身体は苦しいのですが、顔を見ると満面の笑みを見せ
そんな二重人格の様な演技は、当然心の若返りには程遠いのです。
社交ダンスは、二人で踊れば、一人で踊るより、より一層軽快に
楽しく踊れなければなりません。
相手を動かしたり、フォローしたりが、苦痛になっている様では
社交ダンスでは無いのです。

御互いに社交ダンスを踊る時は、相手の事を十分に感じ取って
相手に自分が負担にならない様にしなければなりません。
例え、相手が上級者であっても先生であっても、気遣う事が
上達の秘訣です。

本当に健康で若返る為には、一方的な自分の考えで踊らず
常に、二人で踊りを作りあげて行く気持ちを忘れてはいけません。
心も身体も、御互いに負担にならない様に、相手の事音楽の事を
常に考えられると、自然に、全身の機能が高まり、踊るにつれて
若いエネルギーが沸いてくるものです。