サポーティングフットに体重を乗せるのではなく、引き付ける | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

ラテンアメリカンダンスを踊る時のフットワークは
陸上競技の短距離走に極めてよく似ています。
全く違う分野と思われるかも知れませんが、
特に、100m、200mの短距離走のフットワークは、
走っている間、殆ど、ヒールに体重を乗せません。
その為、靴のボールに付いているスパイクをトラックに
引っ掻ける様に使って、自分の身体を前方に進めます。

ラテンダンスを踊る時、新しい場所にステップする時、
大切な事は、ボールの上に、直接体重を乗せようと
しない事です。
社交ダンスを踊る時、初期の段階では、次に振り込む
ステップに、上半身の重みを乗せる様に指導されたり
サポーティングフットで強く床を押して、上体の重みを
次の足に乗せる様に習います。

しかし、これは、あくまで、足型を音楽に合わせる為の行いで
この様な踊りは、ヒップが後方に残って、骨盤が左右に振れる
いわゆるダックスウォークとなってしまいます。

特に、ルンバやチャチャチャ等、サポーティングフットが
ニーバックする踊りに於いては、左右にヒップを振って
踊っているペアを多く見ます。
ニーバックすると当然骨盤が左右に引かれ、ヒップを動かして
踊っている様に見えますが、エキスパートは、決してヒップを
振りながら踊ってはいません。観客にはそのように見えるだけ
なのです。

大切な事は、社交ダンスに於いて、ラテンアメリカンダンスも
スタンダードダンスも、ウォークをする時は、両足が前後に
床をキャッチして、重心が両足の間に有るところから、
音楽と運動が始まります。

ラテンアメリカンダンスの場合、ボールで床をキャッチしたとき
ボールで捕まえた床を自分に引きつける事で、その上に
重心を引っ張ります。その時、膝が伸びていようが、なかろうが
運動は同じで、キャッチした足の筋肉が中間の重心を引き付け
更には、後方の足を引き付けるのです。

この時、最終的に立ち足のヒールの上の脊椎バランスを感じ
次の方向への脚の振り込みをします。
短距離走では、引き付ける力でそのまま地面を押し、
次の地面をキャッチする為に、足を振り込みます。

ラテンアメリカンダンスに於いては、振り込み足が立ち足の
横を通過する瞬間にヒールの上の脊椎バランスを感じる事で、
前後左右どの方向にもステップを振り込むことが出来ます。

たとえ、ボールのみで移動するスピンを踊っている時でも
ボールで頑張っているのではなく、両踵から脊椎、頭骨までの
バランスを常に感じていなければなりません。

陸上の短距離走の様に、ボールで地面を引っ張り続ける運動は
上半身が倒れやすく、脊椎を真っ直ぐ保つために、強靭な
後背筋群が必要と成ります。
その為、短距離走の選手は、上体が非常に筋肉質であり、
中には、200キロのバーベルをスタンディングで持ち上げられる
選手が結構いるものです。

社交ダンスに於いても、ボールで蹴って踊っている人は
前傾で頭を突っ込み、ヒップが抜ける傾向が有ります。
足が前後に振れる途中で、しっかりと背中が垂直に伸びて
脊椎と頭のバランスをカカトまで感じる事が大切です。