揺れる床に怯える | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

三年前の今日、生徒をレッスンしていると、
何か身体が不安定な感じで立ち止まると、
天井からつるしたスピーカーが小刻みに
揺れ始めました。

しばらくすると、突然部屋中の物が
カタカタと音を立て始め、何か嫌な感覚が
身体を包み始めました。

とりあえず生徒を部屋の安全な所へ移すと
急に大きな揺れが襲ってきて、まさかと思う
今まで体験したことない恐怖を覚えました。

幸い、東京は大きな揺れにならず、被害は
少なかったのですが、その時、東北地方では
とんでもない被害が出始めていたのです。

その後の日本人の心に、かもしれないという
気持ちから、必ずやってくるという意識が
定着しました。

世の中は節約をすることがテーマに掲げられ
不況と相まって、日本中が冷え切って行きました。
生活苦や世の風潮の変化で、多くの方が
守りの生活をするようになり、ますます景気は
低迷、人々の夢は遠のき始めました。

社交ダンスを仕事としていると、表向きは
きらびやかな世界の様に思われますが、
実際は、人と人との関わり合いがいかに
大切かが解る仕事でもあるのです。

二人でお互いの事をしっかりと理解して
相手の気持ちを十分に理解していないと
二人の踊りは楽しくは有りません。

自分だけが上手に踊ろうとしても
相手の気持ちを考えていないと
思ったような演技は出来ません。

災害で多くの尊い命と財産が奪われ
人々の心が大きく傷つきました。
そのことに対して我々は同じ日本人として
深い悲しみを抱き、さまざまな援助を
してきました。

しかしながら、我々支援側と、実際に
被害に合われた方との間には
大きな溝が生まれているのも事実です。

本当に被災者が望んでいるものは
我々支援者が思う事と違っていることが
多いのです。

我々が生活している様な街づくりが
彼らにとって幸せとは言えません。
立場上言いたいことも言えない被災者は
政府や支援者に思ったことも言えず
その結果、月日がたってもなかなか
本当の復興に至っていないのです。

今の支援体制は、社交ダンスにおける
男女の間違った感覚に似ています。

男性はリーダーと呼ばれ、女性は
パートナーと呼ばれ、男性のすることに
黙ってついていくのが女性の役目、
と言った踊りが日本中で多く見られます。

社交ダンスは、男性がいかに女性を
美しく踊らせるか、女性は男性の
リードを受けて、しっかりと自力で
美しい演技を行うかにかかっています。

お互いにいかに相手の事を考えて
二人の関係を育てていくのです。
今の復興計画は、これ見よがしに
女性を自分の思うように振り回す、
亭主関白の踊りのように見えます。

たとえ国と地方の関係であっても
中身は人と人の関わり合いです。
しっかりと同じ土俵で、相手の気持ちを
十分に理解した復興計画を遂行して
明るい未来の東北になることを
心から願っています。