タンゴのみならず、ラテンアメリカンダンスを踊る時、
シャープでクリアーな演技をめざし、足腰のパワーで
力強くステップを踊ろうとする方々が多いですね。
特に、はじめてタンゴを見た人は、力強い動きと
瞬時に動く素早い頭の動きに目が引き付けられます。
その印象から上体をしっかりとホールドし、音楽に合わせ
床をしっかりと押し、ステップを素早く動かそうとします。
でも、本人は頑張っているつもりでも、外見的には
思った事と反対の結果に終わることが多くて悩みます。
この事は誰もが経験する事で、体力を付けて
力強くなれば上手になると思っている方が多いです。
そもそもスピードとはなんでしょう。実際に動いている人が
感じている事と、見ている人が感じている事とは
全く違っている事を知らなければなりません。
スピードがあると言うより、ダンスに於いては
スピード感があると言う事が大切なのです。
また、力強さは力が強いのではなく、力強く
見えると言う事が大切なのです。
タンゴにおいても、ラテンダンスに於いても
力があるのを見せたり、スピードがあるのを
見せているのではありません。
もし、スピードと力を見せつけ続けると、陸上競技の
100メーター走の様にすぐ疲れてしまいます。
ダンスに於けるスピードやシャープさは演技に
よって多分に表現されるのです。
一つの方法は、イメージの力です。
例えば、タンゴにおいて、クローズドポジジョンから
プロムナードポジションになる時、皆さんは
しっかりと身体の向きを変えようと運動しますね。
でも、エキスパートは、運動をイメージしていません。
クローズドのポジションの時、頭の中で
プロムナードになった二人の姿をしっかりと想像し
途中のステップは全く考えていません。
つまり、途中の説明は練習でしっかりと行い
音楽を演ずる時は、瞬時に次の場所に居るのです。
一歩一歩説明して動いていては早く動けないのです。
居合抜きで、名人は、刀が対象物を切っている姿を
想像していません。抜く瞬間に、もう刀を収めた形を
イメージしているのす。
つまり、次の自分の姿が想像できると早くも遅くも
自由自在にできるのです。