旅行記の合間にちょっとだけ他の話。
エリカ・バドゥのPVが問題になっているというニュースを今ネットで見た。
たしかに問題だろうけれど、映像作品という観点で見るとものすごくかっこいい。曲もいいし。
アメリカの大衆音楽のぎらぎらしたPVのノリでやっているのかと思って見たから美しさに感動した。
artは常に挑戦的でなければならないし、政府とか警察とかいわゆる「正しい人たち」に怒られたとしても彼女がこのPVをとった意味はあるなと感じた。久しぶりにいい映像を見た。
キアズマで見たナン・ゴールディンの映像作品(音楽も含め)も素晴らしかったけれど、それ以来かもしれないな、映像に惹かれるってのは(もちろん、僕が映像作品というものにあまり触れる機会がないことは言っておかなければならないけれど、そしてナン・ゴールディンのもののほうが今回のバドゥのPVよりも数倍素晴らしかったけれど)。
ゴールディンの作品もドラッグ、セックス、エイズ、ドメスティックバイオレンスといったものがテーマで純粋にきれいとか美しいというわけではない。けれど、トータルで見ると衝撃的だし「美しい」し素晴らしい。
今回のバドゥの作品も同じだと思った。このPVにおけるバドゥはその場にいた一般市民にとって日常の中に突如訪れた非日常、異端物質で、そういった普通の世界で起こる普通ではないことがartになっている。
普通の世界で起こる普通ではないことをバドゥは作り出し、ゴールディンは記録しただ積み上げた。
意識的に作り出されたものより、どうしようもない葛藤や感情、そして神の意志によって起こってしまう出来事のほうが人の心を強く揺さぶる。(ゴールディンの作品についていえば、それを乗り越えたときの結末がとてもとても穏やかだから、それはとても美しく、僕は強く魅き付けられたのだけれど)
一見普通の穏やかな世界に潜む普通ではない何か。
それはきっと唐突に思いもよらぬ形で表れる。