・・・・・・・っということで、今年のアカデミー賞作品賞他、各映画祭を総なめにした評判の話題作。
ずいぶん期待して観ました。
セックスサービス業に従事する女性の悲喜劇です。
ドタバタコメディーで括ることはできず、もっと深い意味を持たせています。
ウワサ通り、主演女優が体当たりで演じています。
物語の中で彼女の身の上は詳しく説明されていません。
観る側としては何で彼女がニューヨークでこのような商売をしているのか、それを描いてほしいと思うのですが、それは完全に無視されます。
23歳(?)であること、片言のロシア語を理解するのはアノーラ ・ミケーヴァという名前からしてロシアの血が混じっていること、彼女より美人の姉がいること、ルームシェアの安アパートに暮らしていることからしてお金には困っていることくらい。
彼女は体を張った商売をしているけれど気立がよく、仕事にものすごく真面目に取り組んでいて、客からも仲間からも好かれています。
そんな彼女がロシアの大富豪(オリガルヒ)のドラ息子と知り合い、何とラスベガスで結婚式を挙げてしまいます。
まあ、底辺の女性なら誰でも憧れるシンデレラストーリーですね。
当然のことながら、両親からは大反対され離婚を迫られるというドタバタが続きます。
この脚本の巧妙な点は、アメリカとロシアの社会を比較していることです。
アメリカ社会。
セックス、ドラッグ、パーティー、ギャンブルがこれでもかと描かれますが、まあ何とも退廃的です。
アメリカンドリームの成れの果てがこれか?と思わされます。
貧富の差は拡大するばかりで、主人公のような気立が良くて真面目な人間は生きるだけがやっとです。
もう一方のロシア社会。
国は破綻しているのに、一握りのオリガルヒたちが国の経済を牛耳っています。
ここでも貧富の差が問題です。
彼女は金目的で結婚したのかと周囲から思われるけど、本物の愛による結婚だと信じ込んでいます。
彼の両親に会えると思い込むほどウブです。
そんな純愛がこの荒んだ社会で通用するはずがありません。
ことの顛末はネタバレになるので省略します。
ドラ息子を保護するために富豪に雇われた強面の連中が登場します。
彼らがアルメニア出身であることもミソです。
そのうちの一人の用心棒は、無口で頭悪そうだけど、暴力を振るわせたら手に負えない雰囲気を漂わせています。
ところが、この用心棒が思いがけないダークホースで、途中からその存在が大きくなり、物語の最後を締めくくる大役を果たします。
最初から彼女はこの用心棒に罵声を浴びせ、徹底的にバカにします。
ところが、最後はいい奴だと分かりお礼にセックスのサービスをします。
彼女ができるのは体によるお礼しかないと分かり、彼女は大泣きをするところで物語は終わります。
荒み切ったアメリカを描くことがテーマだとぼくは理解しました。
難点は、逃げたドラ息子を探す部分に無駄に時間をかけ、ストーリーがダレてしまう点です。
リアリティーさもなく、驚くほど出来が悪いです。
このために★一つ減点しようと思いましたが、女優の熱演に免じて★5つにしました。
★★★★★
