「絶望名言」が共感を生む社会 | so what(だから何なんだ)

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・・・・・・・っということで、「絶望名言」という著書が売れているそうです。

 

普通、名言というものは「希望」「勇気」「生きていくための知恵」などポジティブな気持ちを持たせるのであるべきでしょう。

 

ところが、「逃げてもいいんだよ」とか「戦いを避けなさい」みたいなネガティブな名言を集めたのが本書らしいのです。

 

代表的な名言としてカフカの以下の言葉が挙げられています。

 

 「将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。将来にむかってつまずくこと、これはできます。いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。」(ラブレターの一節)

 

この言葉をそのまま鵜呑みにして、「倒れたままでいいんだ」と納得してしまう読者がいるとしたら、解釈が浅過ぎて、カフカに失礼というものです。

 

確かにカフカの写真を見れば、背が低く、痩せて、神経質であるような風貌です。

 

しかし、彼は学生時代ボート部にいたりテニスをしたり水泳が得意だったのです。

 

保険局の一サラリーマンとして生涯を送っています。

 

だから、彼があなたと同じ恵まれない人生を送ったと共感するのは早合点というものです。

 

確かに、彼は肺結核で41歳直前亡くなっています。

 

彼の父親は商売で成功していて、母親は大金持ちの家の出身です。

 

カフカの人生が悲惨だったと思い込むのは大間違いで、恵まれた人生を送っていたのです。

 

健康問題で退職する時、彼はかなりの役職に就いていたのですよ。

 

上で挙げた文章は「ラブレター」の一部であったことに気づくべきです。

 

男というものは、女性の気を惹こうとあらゆる手段を用いるのもです。

 

実際の彼は多くの女性と関係を持ち、何度も婚約をしていたモテ男だったのです。

 

彼の言葉を切り取り、共感を得ているそこのアナタ。

 

倒れたままじゃダメですよ。(^^)/

 

・・・・・・・

 

とはいえ、カフカという人間は真面目な善人であったとぼくは思います。

 

実生活は恵まれていても、精神面ではずっと満たされていなかった。

 

素人作家とは思えない才能を持っていて、その才能に気づいた人は当時から多かったのです。

 

彼は作家として生きたかったのです。

 

それを阻んだのは生きた時代でもあり、家庭環境でもあったのです。(父親が主な原因ですが。)

 

彼が不幸であったとすれば、「時代を先取り」し過ぎたという点です。

 

彼は「実存主義」の先駆けとして認識されています。

 

そして、現実と夢の曖昧さを描いた彼の作風は、まさしく現代人の好みにピッタリじゃないですか?

 

ぼくは「変身」しか読んでいませんが。(;^_^A

 

・・・・・・・

 

ぼくが気になるのは、多くの若者たちがネガティブ名言に惹かれる現状です。

 

確かに現代社会は生きにくい。

 

ちょっとしたきっかけで、陰惨なイジメに遭ったり、炎上したりで、引きこもりたくなる気持ちはよく解ります。

 

それを狙った今回の著書は上手いなぁ〜と思います。

 

ネガティブな言葉に共感する気持ちは理解できますが、あくまでも一時期であって欲しいのです。

 

切り取られた言葉に縋ってカフカになった気になってはいけないのです。

 

やっぱり名言はポジティブなものを選択してくださいね。^m^