・・・・・・・っということで、リチャード3世と言われても、全くピンときませんね。(;^_^A
ごく普通の主婦がシェイクスピアのリチャード3世を観劇してそりゃ違うだろうと思い、自ら調査に乗り出すというストーリー。
最初に「これは事実に基づいています」とテロップが出ます。
しかし、話が進んでいくと、リチャード3世本人が現れます。
もちろん幻覚で、彼女も気づいています・・・という演出。
あれっ?実話のはずなのに、これってファンタジー?と鑑賞者は混乱してしまいます。
結局、彼女はリチャードの埋葬地を発見するのですが、直感によって強く導かれたとなって、論理的ではありません。
見終わってから調べてみると、これは実話でした。(リチャードの幻覚の部分は別として。)
主人公を演じたサリー・ホーキンスが本当に普通の主婦で上手い。
イギリスの俳優は舞台出身者が多いせいか、特別美人とかカリスマ性のない俳優であるところがいい。
さて、リチャード3世はシェークスピアによって「簒奪者」として描かれ、悪者のイメージが学会でも定着していたそうです。
彼女が挑むのは、その学会の壁です。
そして、資金調達も彼女自身が行い、結果としてリチャードの埋葬地(駐車場)を発見するのですが、発見の功績は大学(学会)に横取りされてしまいます。
映画は功労者である彼女は評価されないままイヤな終わり方をします。
・・・が、最後のテロップで彼女は正当に再評価され女王から勲章を授与されましたと出ます。^m^
映画そのものは、何かチグハグして上出来とは言えませんが、ディテールはイギリス人が見ると分かる部分が多いだろうなと感じました。
テーマは1)常識の壁を破ることの大切さと大変さ 2)学会が彼女の功績を「簒奪」したという皮肉でしょう。
彼女は彼の背中のコブ(せむし)は悪者のイメージのために作られたと考えましたが、出土した遺骨からそれは正しかったこと。
リチャードは甥などの血縁者を殺害し、王位を簒奪したとの通説を彼女は否定していましたが、出土した遺骨からはそれは嘘だったという証明はできないこと。
この辺が、ぼくが気付いた矛盾点ですが、リチャードが駐車場の比較的浅い部分に埋められていたという事実には圧倒されます。
(余談)
映画で遺骨の両足が切断された状態で発見されますが、殺害された後に切り落とされたもので、細かい考察ですね。
リチャードは戦死した最後のイングランド王ですが、(予算の関係でショボくなった)最後の出撃シーンはイギリス人の心にグッと迫るものでしょうね。
遺骨は詳しく調査され、斧を持って戦ったこと、脳に達する槍の傷が致命傷で即死だったこと。
遺体は死後に辱められたこと。
眼はブルーで、金髪であったことがわかったこと。
★★★★☆