・・・・・・・っということで、毎年恒例のウィーンフィルによるニューイヤーコンサートをNHKで見(聴き)ました。
ウィーン楽友協会大ホールからの中継(録画?)です。
さすがウィーンフィル、難しいはずの曲も笑顔の演奏で、余裕が伝わってきます。
着飾った聴衆、贅沢な装飾のホール、見事な撮影、そして何より明るい音楽・・・・19世紀オーストリー帝国が繁栄した時代の雰囲気そのままです。
ヨハン・シュトラウスを中心にしたワルツなど軽い曲ばかりです。
正直なところ、ぼくにとっては退屈な年中行事でした。
ところが今年、このコンサートを見て不覚にも涙が出てしまったのです。
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ヨハン・シュトラウス(II)はワルツ王ですから、ベートーヴェンの曲のような精神的な深みは伝わってきません。
ただただ明るく優雅な曲ばかりです。
当時のオーストリア帝国の雰囲気がよく伝わってきます。
しかし、ベートーヴェンがナポレオン戦争の影響を強く受けていたのと同様に、ヨハン・シュトラウスも時代の影響を受けていたのです。
あの有名な「美しく青きドナウ」が作曲されたのは1866年です。
NHKには、気持ちが沈んでいたウィーン市民たちを元気付けるために作曲されたと紹介されていました。
何で気持ちが沈んでいたのか?
それは、普墺戦争でプロイセンに負けたからです。
ハップスブルグ家が君臨していたのがオーストリア帝国です。
13世紀に始まった神聖ローマ帝国がナポレオン戦争によって再編され、19世紀初めにオーストリア帝国になり、その帝国が普墺戦争により崩壊し、オーストリア=ハンガリー二重帝国になったのが1867年。
「美しく青きドナウ」が初演された翌年ですね。
その二重帝国も、第一次世界大戦により消滅します。
それ以降かつての帝国は、目立たない現在のような国になったのです。
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ニューイヤーコンサートは、昔の栄光を懐かしむ国民が着飾って、ただただ明るい曲を聴く行事と捉えられがちですが、そのどこが悪い?・・・と思うのです。
他国を圧倒する押しも押されもしない大帝国と、山がちで小さいけれけどクラシック音楽を愛でる平和な国とどちらがいいのでしょうか?
大国による戦争が続く現代の人たちは、ぜひニューイヤーコンサートをはじめとするクラッシック音楽を聴いて、「国の形」について想いを巡らせてほしいのです。
アンコール最初(じゃなくて2番目)の曲はもちろん「美しく青きドナウ」でした。
そのさわりをちょっと演奏しただけで聴衆は大きく反応しました。
指揮者が演奏を止めて振り返り、聴衆に語りかけました。
この曲ほど今の時代に相応しい曲はないと感じました。
そして最後の曲は「ラデツキー行進曲」でした。(こちらはI世作曲)
聴衆が曲に合わせて手を叩きます。
大盛り上がりでコンサートは終わりました。
ぼくには、その拍手が能登地震で被災した人たちへの応援と感じました。