・・・・・・・っということで、かなりブラックな映画です。
コリン・ファレルはヒーローっぽい役より、こういう冴えない男の方が適役だと思う。
何たって、あの(ジョボい)風貌ですからね。^m^
アイルランドにある架空の小島が舞台です。
もちろん、現実社会の縮図を表しています。
相手役はブレンダン・グリーソンで、そんな退屈な社会で人生を終えてしまうことに疑問を持ちます。
「人生は死ぬまでの暇つぶし」じゃないかと気付いてしまったのです。
ならば、残りの人生有意義に生きようじゃないか。
つまらない人間と調子を合わせて生きるのは無駄だ。
彼の場合、バイオリンで作曲することに没頭します。
(尤も、それほど音楽の才能はないのですが。)
つまらない人間の代表役をコリン・ファレルが一手に引き受けます。
この映画はブラックコメディーに分類されるそうですが、ファレルの徹底した鈍感さを笑えればこの映画のテーマを理解できるでしょう。
ファレルの妹役のケリー・コンドンは才女ですので、グリーソンよりずっと先にこの社会のダメさ加減に気付いています。
そういう意味で、男性より女性の方が冷静に社会を見ているのです。
ファレルはなぜ突然親友だったグリーソンから絶交を突きつけられるのか、サッパリ理解できません。
彼の人生の拠り所は、自分が「善人」であること。
これが全てです。
それこそがファレル(島民)が嫌われる理由なのに、全く気づかない。
島民は醜い本性を隠すために、善人の仮面を被っているに過ぎないのです。
・・・・・・・
映画全体を「死」の雰囲気が覆っています。
それを暗示させるのが(魔女のような)老女なんですが、あまり効果を発揮していないのが残念です。
動物(ドンキー、犬や馬)を実に上手く使っています。
あと、精神薄弱な青年を演じたバリー・コーガンはいいですね。
アイルランドの映画には必ずと言っていいほど出演していて、強い印象を残します。
鑑賞後は不快な印象が残りますので、ブラックを楽しめる人向きですね。
★★★★★