・・・・・・・っということで、映像と朗読による旅の情景を淡々と流すだけの作品。
藤原新也の「全東洋街道」の映像版みたいなものを期待したのですが、残念。
アイデアはいい。
深夜と未明に時間を限って、そこに生きる人々を描いています。
すると、自然に社会の裏で支える人々を描くことになるのです。
昼間の街は明るすぎて、ハレーションを起こししまい、却って人物がボケてしまう。
深夜と未明の明かりは薄ぼんやりしているからこそ、人物が浮かび上がってくるという意図。
その着想はいいのですが、旅をする「ぼく」という人物像が薄まってしまい見えてこないのです。
こういう、裏方の人物を語るのなら、「ぼく」はアクが強い人物でなければならない。
藤原新也のように。
アクが強いからこそ、他人とは違った視点で人物を観察し、語ることができるはずなのです。
本作は、プロの読み手による朗読で進行します。
口調は上手いのだろうけれど、旅をしている具体的な「ぼく」が全然見えてこない。
そして、語る言葉が「陳腐」。
なぜそうなるのかというと、旅する個人ではなく「合作」だからでしょう。
みんなの意見を取り入れて作った「語り」で、旅の真髄を語れるはずがないでしょう。
ですから、旅行者としてのぼくに響く言葉はありませんでした。
旅はサンフランシスコ→シギリア→マルセイユ→台北→台南→メルボルンと続きます。
驚いたことに、全部ぼくが行ったことのある都市ばかり。
人生って短いようですが、十分な時間が与えられているんだなと意外に思った次第です。
★★★☆☆
