ネタバレ版【ドライブマイカー】 | so what(だから何なんだ)

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68カ国で止まったまま先に進みません。(;^_^A

・・・・・・・っということで、映画【ドライブマイカー】はオススメ映画ですが、奇抜な(奇異な?)設定がテンコ盛りです。

 

ネタバレですから、未見の人はパスしてください。

 

1)なぜ客の車を使うのか?

 

これは題名に関わる基本的な矛盾点です。

 

主人公(演出家兼役者)は東京から広島まで自分の車で行くのですが、期間中は主催者側が用意したドライバーを利用するのが条件だというのです。

 

演出家が交通事故を起こすと、公演そのものが成り立たなくなるから、理屈に合っています。

 

しかし、ドライバーを用意するなら、車も用意するだろう?

 

彼は作業場がある広島から1時間離れている宿を指定します。

 

時速40kmゆっくり走ったとして片道40km、往復80km。(多分それ以上の距離。)

 

ドライバーは広島に住んでいるはずだから、送り迎えに彼の車は1日2往復、160km /日走る計算です。

 

彼は車をとても大事に使っているので、最初は自分で運転すると主張します。

 

しかし、彼は緑内障という弱みがあるから渋々受け入れたという設定です。

 

そんな細かい辻褄合わせがあるのに、自家用車を使わせ続ける理由が成り立たない。

 

2)初っ端から主人公夫妻のSexシーンから始まります。

 

村上春樹が好むシチュエーションです。

 

しかし行為の後、妻が唐突に物語を語りはじめるのです。

 

主人公はそれを覚えているのに、妻は忘れてしまいます。

 

妻は後から主人公からストーリーを聞いて、それをもとに妻は作品を書き、売れっ子脚本家となるという設定です。

 

そんなことある?

 

あまりにもあり得ない設定でしょう?

 

どうやら、妻は夫以外の男とも寝ていて、それを作品のネタにしているようなのです。

 

3)主人公とドライバー(女性)が心を通わせるまでの過程を描くことがメインで、最後は二人はハグするだろうなぁ〜という予想は見事当たります。(^^)/

 

しかし、主人公は「妻を殺した」と言い、ドライバーは「母を殺した」と言うのです。

 

これが二人の心を通わせる決定打となるのですが、「殺した」はあまりにも大袈裟でしょう?

 

「助けられなかった」は、「殺す」とは全く違います。

 

ぼくは、このセリフで白けてしまうのです。

 

4)妻は本当に唐突に死ぬのです。

 

くも膜下出血で亡くなるのですが、(たぶん)浮気を主人公に打ち分けるつもりだった、正にその夜に倒れるのです。

 

あまりにもご都合主義のタイミングじゃないですか?

 

娘を肺炎で亡くした過去があるのですが、なぜ次の子供を作らなかったのだろう?

 

あんなにセックス好きの夫婦なのに。

 

5)北海道なら飛行機で行くだろう。

 

ドライバーの自宅があったという北海道に二人で行く展開になるのですが、広島→新潟港(フェリー)で→北海道となるのですが、普通はクルマじゃなくて、飛行機を使うでしょう。

 

それも2日という短い期間を区切られているのに。

 

そもそも、主人公がドライバーの(崖崩れで流れた)現場を見に行く理由が分からない。

 

出演者二人から主人公に、このまま続けるか中断するか2日間で決心してくれと迫ります。

 

普通、こういう要求は開催者側からするものだろう。

 

出演者の立場ってそんなに強いのか?(オーディションで選ばれた側なのに。)

 

しかも、この二人の役者が棒読みで情けない。

 

6)何でドライバーは韓国に移住したのか?

 

これは最後の最後のシーンですが、ドライバーは韓国のスーパーで買い物をしているのです。

 

いつのまにか、韓国語を流暢に話しています。

 

しかも、主人公の車に乗っているのです。

 

何で韓国?

 

主人公から車をプレゼントされた?

 

主人公と結婚した?

 

実は、この作品で一番美味しい役を韓国人俳優が演じているのです。

 

あまりにも韓国偏重に???を感じてしまいます。

 

ぼくなんかへそ曲がりなので、アカデミー賞を獲った【パラサイト】のおこぼれにあずかろうとの魂胆を疑ってしまいます。

 

・・・・・・・

 

これ以外に、頭をかしげる部分が散見されます。

 

広島の原爆投下を絡ませる意味とか。

 

どう見ても有名でなささそうな若手俳優(高槻)が、なぜ携帯で盗撮されるのかとか。

 

韓国人夫婦が日本で食っていけるのかとか。

 

村上春樹の原作を読んでいないので違いが分かりませんが、【ノルウェーの森】を読んでガッカリさせられて以来、彼の小説は読んでいません。

 

彼の無理な状況設定や、あり得ないストーリー展開が受け入れられないからです。

 

だからといって、彼の才能を評価していないわけではありません。

 

彼の持ち味は、短編やエッセイで発揮されると思うのです。

 

逆に、長編はこの映画にあるような不自然さが受け入れられないのです。

 

さらに言えば、彼がノーベル文学賞を取れない理由はそこにあるのではないでしょうか。

 

熱烈な「ハルキスト」には申し訳ありませんが。