・・・・・・・っということで、ハンガリー映画であります。
繊細な心理描写で、ちょっとバランスを失ったら壊れそうな物語です。
ホロコーストの場面は出てきませんが、強制収容所を生き延びた16歳の少女と中年の産婦人科医の不思議な愛を描いています。
年齢差のある男女ですから、求め合う愛の形は基本的に違うはずです。
少女は医者に「父性」を求めていることは確かなのですが、同時に男女の愛も求めている。
医者は少女に亡くした子供の姿を重ねるし、亡き妻への愛も求めている。
二人が求めているものは微妙に違うのですが、「心を埋める何か」は同じであることは間違いない。
戦争が奪った心の大きな空白はあまりに大きく、何で埋めればいいのか二人には分からない。
分からないまま、二人はただ抱擁するのみでそれ以上進展しません。
ナチスとの戦争が終わって生き延びたけれど、今度はソ連による恐怖政治が始まります。
歳の離れた男女が一緒に暮らすこと自体が奇異な目で見られ、密告される危険があるのです。
終盤になって、突然3年後の場面になります。
二人はそれぞれの道を選択しています。
久しぶりに再会します。
その場面の描写がとてもいいんです。
最後は女性がバスに一人乗っているシーンなのですが、少女は成長し大人になって、明るい将来を暗示しています。
難しいテーマに取り組んだ良い映画ですので、是非ご観覧を。
★★★★★