・・・・・・・っということで、スティーブン・スピルバーグによる1961年版の焼き直しです。
ストーリーはほとんど変わっていないようです。
スピルバーグらしいソツのない作りですが、正直なところあまり感動しませんでした。
だって、オリジナルを超えていないんですから。
60年前、ぼくは小学生でした。
そのときは圧倒されました。
「Tonight」は今でもところどころ歌詞を覚えているくらいです。
感動しないのは、単にぼくが歳をとって感受性がなくなったからだけじゃないでしょう。
あまりにも「定型的」過ぎるのです。
スピルバーグはもっと冒険すべきだった。
コピーするだけなら、オリジナルに負けるに決まっています。
じゃあ、なぜ今になって焼き直し版を製作したのか?
いろいろ考えてみました。
それは、ウエストサイド・ストーリーはアメリカの伝説(or歴史)になっているからです。
新しい国アメリカが誇る、偉大な文化の一つになっているからです。
いくら偉大なミュージカル映画でも、60年前のをわざわざ見る人は少ないでしょう。
レナード・バーンスタインの音楽がいかに素晴らしいか、アメリカ国民に再認識させるために撮ったのです。
偉大な文化だからこそ、新しいキャスト、最新技術、最新音響、最新振り付けで何度も繰り返すに値するのです。
・・・たぶん、スピルバーグはそんな意気込みだったのじゃないかな?
まあ、アメリカ賛美映画ですね。(^^ゞ
・・・・・・・
ちょっと気になった点。
チノは重要な役割を果たすんですが、描き方がイマイチじゃないですか?
彼はなぜトニーを射殺したのか?
そこに至る心理的な葛藤が上手く描けていないんじゃないの?スティーブン。
リタ・モレノがまさか歌うとは思いませんでした。
90歳ですぜ。
流石に心に染みる枯れた歌声でしたが、ちょっと残酷な気がしました。
プエルトリコと貧乏白人の間の人種差別問題にも、もう少し切り込んで欲しかった。
トニー役はベビー・ドライバーだったのね。
普通な感じで歌も踊りも出来ちゃうのね。
でも演技は単調(定型的?)な印象を受けました。
マリア役の新人女優はすごい才能だけど、ナタリー・ウッド相手じゃ力負けかな?
でも、バーンスタインの音楽が素晴らしいから許しちゃう。
★★★☆☆