・・・・・・・っということで、サリンジャーファンが見ても気分を害しない作品でしょう。
何時も思うんですが、芸術作品は一度作家の手を離れたら、生みの親とは関係なく独り歩きするものだと。
即ち、作品を鑑賞するのに作家の私生活なんか邪魔なだけで、作品だけで評価すべきだと。
・・・これはあくまでタテマエ。
例えば、太宰治の作品をより深く理解するには、彼の辿った放蕩生活抜きには考えられない。
ゴッホの絵を鑑賞するのに、彼の悲劇的な生涯が不可欠。
モーツァルトの神とも思える完璧さは、若くして世を去ったことと結び付いている。
サリンジャーの生涯をこの映画で知ったからといって、いささかも邪魔にはならない。
逆に、彼の作品を読みたくなる。
映画は彼が作家を志望し、ライ麦畑で捕まえてで名声を得るまでの成長過程を描いている。
勿論彼には才能があったけど、その才能を引き出し成長させた人々も丁寧に描いている。
名声を得たあと突然隠遁生活を送るのだけれど、作品を発表しないまま一生書き続けたのです。
彼にとって書くこと、即ち生きることだったのです。
とても理解しがたい行動だけど、作家とは何かを考えさせられる仕掛けになっています。
主役を演じたニコラス・ホルトがみずみずしい演技をしています。
★★★★★