・・・・・・・っということで、朱色の箱はタイムカプセルでした。
父親が終戦後、愛媛県の公務員になっていたのを初めて知りました。
2年ほど勤めた記録がありました。
職業軍人だった父にとって、事務職は合っていたのか分かりませんが、ほどなく外部で研修を受けたようです。
そこでの成績表があって、トップの成績を納めていました。
その後に役所を辞めて、織物会社に転職しました。
もちろん、ぼくが生まれる前の話です。
その織物工場も辞めて、発足したばかりの自衛隊に入隊しました。
辞めるときに社長とゴタゴタがあったようで、社長の手紙が極秘と書かれた封筒に入っていました。
父にとっては人生の転機だったので、朱色の箱に大事に保管していたのでしょう。
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その他、ぼくが小学生から中学生のとき、学級委員に任命されたときの委任状が数枚出てきました。
両親にとって、よほど誇らしかったのでしょう。
それと同時に、姉の中学から高校にかけての通信簿が出てきました。
1がほとんどで、たまに2があるような悲惨な内容の成績表でした。
常に最下位から3つ4つの順位でした。
担任が書いたコメントを読んでいると、何かとても暗い気持ちになってしまいました。
もっと積極的に同級生と混じるようにと書かれていました。
クラスの隅で一人ぼっちの姉の姿が浮かんできました。
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それぞれの家庭には、それぞれの歴史があります。
一緒に過ごした記憶は、家族にしか分かりません。
いま、父は亡くなり、母は完全にボケてしまい、姉はそもそも自分の置かれた環境を理解できていません。
偶然タイムカプセルを開けてしまったわけですが、4人で生活した家族の記憶を持つのはぼく一人しか残っていません。
朱色の箱を前に、家族の記憶を辿って、しばらく呆然としてしまいました。
家族は必ず消え去るものです。
家族のことを考えると、何故か悲しい気分になってしまいます。
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まあ、そんなことがあって、すっかり戦意を失い、まだ片付けの目処が立たないまま帰ってきてしまいました。