・・・・・・・っということで、黒人への差別を描いたドキュメンタリー仕立ての映画です。
2017年のアカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を獲得しています。
先ず構成が実にいい。
基本は、ジェームズ・ボールドウィンという黒人作家が語るという形式です。
最初は本人が語っているのかと思いましたが、サミュエル・L・ジャクソンのナレーションでした。(本人は1987年に63歳で癌で死亡。)
語り+映像+黒人の音楽で構成されています。
この3つの調和が素晴らしい。
特に映像の選定が秀逸。
ボールドウィンと親交のあったマーティン・ルーサー・キングやマルコム・Xらの活動を中心に語っていきます。
片や「無抵抗主義」、もう一人は「暴力主義」、そしてボールドウィンは「文学」で白人による差別に戦いを挑みます。
それぞれ異なる手段でしたが、ご存じの通り二人は凶弾に倒れます。
結局、文学=教養=理詰めがいちばん効果のある戦いの手段だったように、ぼくには感じられました。
彼の発する言葉は、他の者がしたように「感情」に訴えるものではなく、「知性」に訴えるものでした。
黒人を差別するのは「理屈で間違っている」というアプローチです。
歴史に名を残したのは、キングでありマルコムXでしょう。
しかし、普遍的な効果を持つのは、理詰めの方だと思います。
感情は時代と共に揺れ動くからです。
記憶に残った台詞があります。
「歴史は過去のものじゃない。現在だ。歴史は我々と共にある。我々が歴史なのだ。」
「この事実を無視するのは犯罪と同じだ」
どうです?
グサリと刺さる鋭さを持っているでしょ?
言葉を扱う文学者はこれくらい研ぎ澄ましてほしい。
ペンは剣よりも強しと言われますが、ペンを持った黒人は最強ですよ。
★★★★★