ストーリーらしいストーリーはありません。
盛り上がりもありません。
始まりも終わりもありません。
ただ、ニュージャージーのパターソンという町に生まれ育った、しがないバスドライバーの1週間を描いています。
彼は詩をノートに少しずつ書き溜めています。
パターソンという町は、二人の有名な詩人の出身地です。
ドライバーの名前もパターソンです。
彼の書く詩は、お世辞にも上手くありません。
自分でも才能の無さに気付いているようです。
何故なら、ランドリーで見かけた素人の黒人ラッパーや、10歳の女の子の書く詩のほうが優れていると思うからです。
しかし彼は、メゲずに詩を書き続ける。
どうして?
書かずにいられないからである。
どうやら、この辺りに映画のテーマがあるようです。
ぼくは以前から「人生は物語ではない」と言い続けています。
小説や映画は物語でなければ成り立たない。
しかし現実の人生は、始まりも終わりも無いじゃないですか。
毎日を淡々と過ごすだけです。
この監督は、それを実行して見せた。
物語のない映画を作ったのです。
物語はないけれど、パターソンという男、同棲する彼女、彼を取り巻く町の人達はどういう人なのか、ちゃんと描かれている。
なんの変哲もない毎日なのに、何故か「双子」を見かける。
それは、平凡な生活の中に起こる小さな「奇跡」を表している。
最後に変な日本人が出てきて、「アーハン」と答える。
何でアーハンなのかサッパリ分からない。
主人公も分からない。
しかしそれが、現実をありのままを受け入れる「肯定」のアーハンであることがわかり、変な日本人から貰った真新しいノートに、それまでとはちょっとマシな詩を書き始めるのでした。
主演のアダム・ドライバー(カイロ・レン役/レポート)が適役で、良い演技をしています。(ずっとデヴィッド・シュワイマーと混同していました。)
評価は難しいけれど、印象度という点で★一つオマケ。
★★★★☆
