これだけ各個人がネットで繋がり、意見を発信できる世の中ですから、威厳を保つのは至難の技だと思います。
昔の指導者にあった威厳というものは、情報操作/情報不足のベールの助けを借りていた部分が大きいでしょう。
今の指導者は、お気の毒です。
そのときの気分でTwitterでつぶやく大統領の出現に至っては、もはや威厳もクソもあったものではありません。
NHK のニュース(※)によると、トランプの記者会見で質問したCBSの中国系アメリカ人の女性記者に対して、「そのようないじわるな質問をする人に対しては・・・」と非難し、会見を一方的に打ち切って会場をあとにしたそうです。
質問も答えもちょっと噛み合っていなかったのですが、トランプが腹を立てた理由は簡単です。
相手が:
1)中国系だったから⇒人種差別
2)女性だったから⇒女性差別
3)嫌いなCBSだったから⇒(フェイクとの)決めつけ
ここには威厳の欠片(かけら)さえありません。
彼を選んだツケを払うのはアメリカ人ですから、放っておくしかないですが。
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威厳なんてワケの分からないものに頼ることは、諦めた方がよいでしょう。
もう、人々が求めているのは威厳じゃないのです。
指導者に必要な資質とは、威厳より「ウィット」なのです。
ウィットというのは簡単なものじゃありません。
「駄洒落」と「ウィット」は近いようですが、まるっきり別物です。
なぜなら、ウィットは「知的」でなけらばならないからです。
更に、使うには「心の余裕」がなければなりません。
「知的で心に余裕がある」・・・正に指導者に不可欠な資質じゃないですか。
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「いじわるな質問」をするのが記者というものじゃないですか。
トランプは何を勘違いしているのでしょうか。
彼にウィットさえあれば、敵を味方に変えることができるのです。
会見を一方的に打ち切るなんて、心に余裕がない証拠です。
少なくともぼくの目には、彼は敵に背中を見せたと映りました。
(※備考)
記者会見では、トランプ大統領がアメリカでの新型コロナウイルスの検査件数は世界最多で、さらに充実させるとアピールしたのに対し、アメリカのCBSテレビの中国系アメリカ人の女性記者が「日々、アメリカ人が命を落としているのに検査の件数がなぜ重要なのか」と質問しました。するとトランプ大統領は「命を落としている人々は世界中にいる。その質問は中国にするべきだろう。私に聞くな。中国に聞いてくれ」と、いらだちをあらわにしました。これに対しCBSの記者が「なぜそんな言い方をするのか。特に私に対して」と尋ねると、トランプ大統領は「そのようないじわるな質問をする人に対しては誰にでも言う」と非難し、さらに質問しようとしたほかの記者のことばをさえぎって、会見を突然、一方的に打ち切って会場をあとにしました。(NHK より転載)