ロリコン(ロリータ・コンプレックス)の語源になった映画と言っていいでしょう。(原作者が製作に協力。)
ロリコンと聞き、エロチックな描写をご期待の向きには、期待ハズレです。(^^)
何しろ時代が半世紀以上前ですからね。
キューブリック34歳のときの作品です。
【突撃】、【スパルタカス】の大作に続く作品です。
この次に【博士の異常な愛情】【2001年宇宙の旅】を撮っています。
キューブリックはもっとエロスを前面に押し出したかったそうですが、当時の倫理観では映画表現は無理だったようです。
少女に中年の男が愛情を燃え上がらせる・・・って、社会的なタブーの壁は想像以上に厚かったのでしょう。
その後、ロリコンを扱ったのは【アメリカンビューティー】くらいですかね。
そこでキューブリックが採った手段は、コメディー仕立てにすること。
この映画をコメディーと捉える人は案外少ないかも。
ロリータの母役のシェリー・ウィンタースの大袈裟な演技を観れば明らかなんですが、キューブリックとコメディーが結び付かない人が多い。
この映画で怪演を見せたピーター・セラーズが、【博士の異常な愛情】の主役に抜擢されたのがよく分かる。
あらゆるところにイギリス人独特のブラックユーモアが散りばめられています。
舞台はコテコテのアメリカですがね。
さて、物語はジェイムズ・メイソン演じる大学教授が年端も行かないロリータにメロメロになってしまい、身も心も破滅していくさまを描きます。
実に滑稽。
このロリータが上手で、子供のくせに中年をもてあそぶんですね。
演じるは新人のスー・リオンで、当時16歳。
(この演技が強烈すぎて、彼女は実生活でも破滅してしまいます。)
このブラックユーモアが理解できる人には、可笑しくて堪らん映画です。
ぼくは女性は人生の節目で劇的に変化すると書きました。
それは、変わらざるを得ないからです。
それに比べ、男はいつまでも少年のようであり、それでも許されるからです。
そんな普遍的な事実を、面白可笑しく描いた映画なのです。
キューブリックが今の時代にこの映画を撮ったら、大胆な性描写になったことでしょう。
すると、この映画で残したフラストレーションが、これから9年後の【時計仕掛けのオレンジ】や、37年後の【アイズ・ワイド・シャット】でのエネルギー源になっていることに気付くのです。
文句なしに★★★★★です。