【ボートの三人男】
ジェローム・K.ジェローム (著), 丸谷 才一 (翻訳)
1976年7月
中公文庫刊
コレは面白い。
こういうスタイルは大ぁ~い好きだ。
120年前に書かれたユーモア小説だけれど、そのユーモアが全然色あせていない。
逆に、現代のユーモアよりずっと洗練されている。
どうして、イギリス人はこうなんだろう?
意地悪なんだけれど、憎めない。
気取っているんだけれど、どこかドジ。
そういう面を彼ら自身でちゃんと理解して、自分を笑い飛ばしている。
自分を客観的に見る視点を、生まれながらに持っているとしか思えない。
日本人に欲しい性質だ。
落語を聴いていると、そういう素養(?)は十分あると思う。
それを生活の中で十分磨いていないだけだ。
それが出来れば、日本人はもっと海外で活躍できると思う。
作者は、この本一発だったようだが、馬鹿馬鹿しい文章の中に、時々ハッとするような文学的描写が出てくる。
自然を描く部分だが、夕暮れから夜に移る描写のなんと詩的なことか!
そのくだりを読んだだけで、この作者の作家としての力量が推し量られ、ただ者ではないことが分かる。
それと、この本の一番大事な点だが、翻訳者としての丸谷 才一 の才能である。
コレだけ雰囲気を上手く読者に伝えられる能力。
(尤も、原文は読んでいないのだが。)
ユーモア小説だから、逆に難しいと思う。
この訳者も、ただ者ではない。