【ライ麦畑でつかまえて】
サリンジャー著
1951年
野崎孝訳
う~ん、イイ。
この本は良い。
久しぶりに、一気に読んだ本である。
村上春樹の【ノルウェイの森】を読んだ後だから、余計に良く感じるのかもしれないが。
書きたくてしょうがないという欲求の強さを著者に感じる。
作家とは本来そういうものであろうが。
その点は、村上春樹も同じだが、その「誠実さ」は比べ物にならない。
一気に書いたような書き方(実際一気に書いたのだろうが)ではあるが、非常に構成が緻密である。
子供から大人に移行する期間の心の葛藤を描くのは、作家にとって魅力のある題材であろうが、サリンジャーはとても見事に行っている。
著者が32歳のときの作品。
しかし、その歳だからこそ16歳の気持ちを上手く表現できたのかもしれない。
大人の世界の欺瞞的な部分に、ずっと懐疑の念を持ち続けていられたからこそ書けたのであろう。
実際、サリンジャーという人はチョットばかり、頭がおかしかったのかもしれない。
でも、その自分のおかしさの部分に、真面目に向き合っているところに好感が持てる。
確かに、ヒネた視点ではあるが、「正直」なのである。
ものを書くという誠実さは、村上春樹など足元にも及ばない。
ちなみに、この翻訳者の野崎孝は上手い。好感が持てる訳である。
確かに、口語としては今では古臭い表現かもしれないが、逆にサリンジャーの時代の空気を伝えてくれている。
あと、題名の「The Catcher in the Rye」だが、どうしても「ライ麦畑でつかまえて」の意味にはならない。
でも、とてもイイ意訳である。
翻訳者はものすごくここで考えたに違いない。
この辺も、本全体の高感度を上げていると思う。
ナニナニ?
村上春樹もこの本を翻訳してるって?
ケッ!