【ソクラテスの弁明・クリトン】
プラトン著
久保 勉訳
岩波文庫
1964年8月16日改訂版発行
なんでソクラテスともあろう賢人が、裁判で自分の弁明をしたのに、死刑になってしまったのだろうという点に興味があった。
ある意味、コリャ仕方ないワイと、読後に思った。
自ら墓穴を掘ったと言おうか、もう少し大人になれよ・・・・っと言ってやりたいくらい。
「私は自分が無知だと知っている、だから賢いんじゃ。」なぁ~んていうから、嫌われるのだ。
自分の言葉に酔ってしまっている部分も無きにしも非ず。
自分の吐いた言葉によって、さらに自分を窮地に追い込んでいる。
だが、どうもソクラテスは、意図してそうしたというフシも無きにしも非ず。
もう十分、歳を取ったので、このまま生き永らえるより、このチャンスを生かして、人類の歴史に名前を留めようとしたと考えるのは、深読みしすぎだろうか。
紀元前340年というから、今から2350年も前に生きた人の言葉が口語調で残っている。
まあ、プラトンという人が記録したから残ったのではあるが、すぐに消えてしまうと思われる言葉が、何千年もの時空を超え私たちの心に届くのである。
考えてみれば、とんでもないことである。
録音技術が進んだ今でも、言葉が2300年以上も残るかどうか疑問である。
もし、ソクラテスがここまで先を読んでいたなら、彼の企みは大成功である。
人間として最大の名誉である、普遍を彼は得たのである。