【わが人生にこの言葉あり】経営トップが語る | so what(だから何なんだ)

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【わが人生にこの言葉あり】経営トップが語る
PHP研究所
1993年2月24日

またも自分で購入したのではなく、会社の倉庫で見つけた本。
しかも、発行年が14年も前の古本だ。

いかにも経営者が買いそうな安易な書名だ。
パラパラとめくってみると139人の社長の中に、わが社の社長(当時)の名前があった。
これで、この本が会社の倉庫にあった理由が分かった。

さて、本の中身だが想像の通り、各社の社長に座右の銘を書かせる趣向だ。
経営者ともなると、困難に直面したときに自分を支える言葉があるはずだ......っという安易な発想だ。
だが注目したいのは、この本が出版されたのがバブルがはじけ、まさに経済の行く先が全く読めない時期であったこと。彼らはこの先まだ10年も不況が続くことまでは想像していなかったようだ。
彼らが苦悩していた時期に読むより、いまの時代に読むことも面白いのではないか。

わが社の社長が執筆するくらいだから、メジャーな会社の社長はほんの僅かだ。
あまり大企業の社長だと、自ら企業を起こした立志伝中の人物が少ないからだろう。
それより執筆を断られたというほうが、正しいかもしれないが。

読んだ印象だが、座右の銘にも幾つかのタイプに分類される。
1)そもそも座右の銘など持っておらず、しいて言えばと正直に告白するタイプ。
2)同じく持っていないのだが、こういうときに備え準備しているものを披瀝するタイプ。
3)待ってましたとばかりに、とうとうとご説を述べるタイプ。

私が思うに、1)が本当は一番多いのではないかと思う。一つの言葉が心の支えになるというより、その場その場で救われる言葉というのが現れるのではないだろうか。
だから座右の銘と突然聞かれても、困惑するのが本当なのだろう。
私も、たくさんの良い言葉を知っている。その中で、どれが一番とは言えない。ケースバイケースなのだ。

それでも、この本の中から幾つかの良い言葉に出会うことが出来た。
「日本のように春夏秋冬と四季があり、美しい祖国のある人々は、我々ユダヤ人のように命の次は金であると心から思っているのには勝てない。」
「高く天を飛ぶ者は地の大なるを視る。」
「日本の会社は集団全体の一致体制を重視するためか、事実より精神主義に偏るようなことが多い。」
「定年を迎えたとき、「こんな会社にいて損をした」ということがないよう」
「明るく、強く、正しく」
「最近、社長というものは、切れ味の良い包丁でなければならないと、思うようになった。」
「面白くないと思いながら仕事をすると怪我をする。」

結構多いのは、子供のときに父母から聞いた言葉、先生から聞いた言葉。やはり年をとって邪念が多くなってからより、若いときに聞かされたシンプルな言葉に対する方が率直になれるものだ。
難しい漢文や、仏語をいじくり回すよりすっと入ってくる。
まさに、「人生の大切なものは全て幼稚園の砂場で学んだ」だ。

それと、気が付いたことだが、この中に女性の社長が一人も含まれていないことだ。
これは重大な片手落ちだ。ぜひ女性社長の座右の銘も聞いてみたい。
しかし、男性と違って女性はずっとタフだから、そんなもの必要としていないのかも知れない。

.......っで、今の私の座右の銘って?
「美しいものを見て、美しいと思えるような心」ですな。