東京散歩(向井潤吉アトリエ館) | so what(だから何なんだ)

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人生のバックパッカーのブログです。
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そんなお年頃。
68カ国で止まったまま先に進みません。(;^_^A

・・・・・・・っということで、世田谷区の美術館巡り。

今日は駒澤大学駅から徒歩圏の【向井潤吉アトリエ館】です。

1901~1995年に生きた洋画家です。

彼の住居兼アトリエがそのまま開放されています。

実に雰囲気のある家です。


老後はこんな風に小さくても整った庭を眺めながら、お茶をすすっていたいですね。↓


古風な外観に比べ、レイアウトはモダンです。↓


例によって、鑑賞者は先客の老夫婦が帰ったあとはぼくが独り占めです。


この辺りは弦巻といって、古くからの地名です。


周辺より小高いところで、彼が住んでいた頃は周囲一面田んぼだったようです。

今は家が建て込んでいて、この庭をもとに当時の風景を想像するしかありません。


さてさて、彼は茅葺き屋根の民家を沢山描いたことで有名です。

内部は撮影禁止でした。(m(_ _)m)


ほぼ94歳まで憑り付かれたように、茅葺きの家を描き続けました。

ネットから借りた代表的な絵です。↓


はっきり言って上手いっす。

誰がなんといっても上手いっす。(^^)/


筆に迷いがありません。

完成度が高過ぎます。


もちろん民家以外にこんな絵も描きますが、絵画技法では昨日見た宮本三郎より格段に上です。↓


しかし、何故民家ばかり描くのか?

彼自身の言葉として、消え行くばかりの民家を記憶に残しておきたかったからだそうです。

その背景には、戦争体験が根差しています。

彼も宮本と同じく、従軍して戦争絵画を描いています。

そればかりではないでしょう。

茅葺きの家が持つ芸術的価値の高さでしょう。

日本に限らず伝統的な家屋は、必ず周囲の自然と調和がとれています。

そしてさらに、移り行く季節との調和も見事です。

現代の建物は自然とのハーモニーなど一切考えていませんものね。

向井は、いま描けるうちに描きたいと思ったことでしょう。

・・・・・・・

しかし、記憶に残したいというなら写真でも良いじゃないか?

向井の絵は写実的で、写真のように正確に描写されています。

芸術的な写真には写した人の心のフィルターがかかるものです。

絵も同じです。

作者によってインプットされた何らかの感動が、伝わってくるものなのです。

向井は殆ど現場で仕上げる主義で、アトリエに持ち帰って完成させることは殆どしなかったそうです。

そうすることで現場の空気まで伝わると知っていたからでしょう。

だが、彼の絵からはそこに住み着いている人の息づかいまでは感じられません。

あくまでも自然と調和する家屋を、純粋な「美の感動」として捉えるほうに興味があったと思われます。

・・・・・・・・・

ここから先がぼくの勝手な想像です。

誰でも気付きますが、彼の絵の色調はどれも茶色っぽさで統一されています。

殆どの絵が、晩秋か初冬の暗い季節だからです。

何故か?

それは、現地の屋外で仕上げるので夏は暑くてタマランからでしょう。

さらに、蚊に刺されてしまうので絵など描いていられないからでしょう。

それを予想して彼は生前、「ぼくは緑色の使い方が上手くない」と告白しているのです。

違うなぁとぼくは思っているんですけど、どうでしょう?

それともうひとつ、彼は高齢になっても全国に足を運んで絵を描きまくっています。

何故か?

それは、彼は本質的に旅行が好きだったと思います。

さらに、彼は酒好きで全国の地酒を飲みたかったからだとぼくは睨んでいるのですが、どうでしょう? (^ω^)