・・・・・・・っということで、籠池夫妻を見ていて、昔出合った詐欺師夫婦を思い出しました。
今回の事件のことを良く知らないので、彼らが詐欺師だと言っているわけじゃないですよ。
ただ単に、連想してしまっただけです。
以前、1億円以上する製品の営業をしていたことがあります。
ぼくの部下から、いま営業をかけている資産家の夫婦がいるのだけど、一度会ってみてくれないかと言われ、関西まで二人で出張したことがあります。
現地の代理店の社長も加わり、三人で件の夫婦に会いました。
身なりはたいしたこともなく、乗っている車もお世辞にも高級車ではありませんでした。
でも、夫が今まで商売で儲けた話をすると、すぐさま妻がその話を補強するのです。
夫は何にも無いところからアイデアひとつで成功するのだと、淀みなく話すのです。
後から考えればおかしな話なのですが、パッとしない身なりをしているけれど、実は金持ちじゃないかと思い始めるのですね。
代理店の社長はぼくよりずっと年長で、その業界も長いのですが、「この人たち本当に金持ちだよ」と耳元でささやいたのも判断を狂わせる要因でもありました。
詐欺師のことを知識として持っていますが、実際に目の前にした経験がないので、人間を信用してしまう気持ちのほうが強くなるものなのです。
しかも、一人ならまだしも、夫婦の詐欺師なんてありえないという先入観もありました。
ただ、変だなぁと感じたのは、昼食でラーメンを奢りで食べさせたのですが、そのときの食べっぷりが如何にもガツガツしていて貧乏人の食べ方だったのです。
結局商品を購入してもらう運びになり、あとは入金を待つだけになりました。
しかし、いつまで経っても入金がないのです。
そこで、信用調査会社を使って二人の周辺を調べたところ、近所では札付きの詐欺師夫婦だと判明したのです。
しかし、商品を渡したわけでもなく、こちらの損害は出張費と調査費用と昼のラーメン代だけでした。
昼食代を浮かせるためにあんな芝居を打ったのだろうかと不思議に思いました。
あとで考えたのですが、あの夫婦は人を騙すという行為そのものをまるで夫婦漫才のように楽しんでいたんじゃないだろうか。
普段は貧乏生活をしているけれど、いっときだけでも金持ちの雰囲気を味わいたかった。
そうとしか思えないのです。
ぼくが得た教訓は、世の中には「本物の嘘つき」が存在するのだということです。
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籠池夫妻ばかりでなく、日大アメフト監督の会見を見ていてもこの経験を思い出してしまうのです。