・・・・・・っということで、自分でも信じられないのですから、なおさら他人には信じられないでしょうが、ぼくは船乗りを目指していました。
ロクに泳げもしないくせに。(ーー゛)
動機は単純。
それはロマンです。
海に対するロマン。
結論を先に言えば、ロマンのロの字にも触れられずに、母なる海に丁重に陸(おか)に押し戻されてしまったのですが。
「ここはオマエの来る場所じゃないよ」・・・って言われているような。(^^ゞ
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ぼくの母校は今では『海洋大学』なんて、「潰瘍」と間違えそうな無残な名前に成り果ててしまいました。
この名前からは、ロマンのひとかけらも感じられません。
ですよね。
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優秀な船乗りを養成すること。
これは、明治以来の国家プロジェクトでした。
アタリマエですよね、日本は海に囲まれていて、世界との貿易なしには成り立たないのですから。
だからこそ、高い学識を持った船乗りの養成を目指したのでした。
いまの時代、考えられないですよね。
大学を出て船乗りになるなんて。^m^
国が血税を使って船乗り養成大学を運営するなんて。^m^
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長い航海を終えて、港の沖に投錨して入港を待っている時、双眼鏡で陸(おか)を眺めます。
望遠ですから、遠近感は損なわれ、街の奥行きは実際よりずっと狭く感じられます。
双眼鏡を覗く度、ぼくは思ったものです。
これは片想いだと。
船乗りが懐く陸への一方的な片想いなのです。
陸の住民からすれば、船の乗組員なんて眼中にないのですから。
自分たちの生活の殆どの部分が海運によって支えられていることを実感する人なんて、いないでしょう。
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今回のように、ヒアリがコンテナヤードで見つかっても、日本経済の生命線が海運であることまで思いを至らせる人なんて皆無なのです。