・・・・・・っということで、ぼくにとって40年前のイラクでの2年間はいろいろと強烈な印象を残しましたね。
【ジャシム】
ジャシムはオフィスボーイとして使用していたイラク人でした。
オフィスボーイというのは、我々の事務所の細々とした雑用をこなすのが仕事です。
ジャシムは前任者から引継いだもので、結局5年間日本人の事務所で働いたことになります。
気の利かない男でしたがひょうきんで、日本人からおもちゃにされるのが仕事のようなものでした。
それだけ長く付き合うと普通は信頼を置くようになるものです。
ぼくも雇い人と従業員という立場を超えて、仲良くなっていきました。
ところが、事務所で盗難が目に付くようになって、結局犯人はジャシム以外にはないということになったのです。
勝手にクビにすることはできず、イラク人労働者が作るユニオンに連れて行って、彼の弁明を聞くことになりました。
予想通りシラを切りとおしたのですが、その言い訳が全く子供じみていて、聞いていたユニオン側の世話人も苦笑するくらいでした。
結局クビに出来たのですが、そのときの彼がついた悪態は見るに堪えないものでした。
「日本人はこのサンダルの裏のようなもんだ」と地面に唾を吐き足で踏みつけてこね回したのです。
いまでもそのホコリっぽい光景を思い出しますが、あれだけ何年も可愛がっていたのに最後はコレかよと、なんとも言えない気分になったものです。
彼とセットで引き継いだ人間にヤシンという名のフォアマンがいました。
このことを知ると、「何で日本人はあんなヤツをずっと信用していたんだ?ヤツはマハッバル(気違い)だよ」と平然と言ってのけたのです。
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このときほど日本人とアラブ人の違いを痛感させられたことはありませんでしたね。