【物語 エルサレムの歴史―旧約聖書以前からパレスチナ和平まで】 | so what(だから何なんだ)

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そんなお年頃。
68カ国で止まったまま先に進みません。(;^_^A

・・・・・・っということで、こういう本に出会うのはツイていますね。

まさしく新書にうってつけのテーマですね。
エルサレムという一都市の歴史を神話時代から現代まで一気に綴っています。
ページ数も300と、読み応えがあります。
著者はイスラエルの大学に留学し、卒業後はそこで教鞭をとったほどのイスラエル通です。

エルサレムって知っているようで、全く知らないに等しいんじゃないでしょうか。
ガザ地区?ヨルダン川西岸?インティファーダ?ハマス?ファタハ?PLO?ゴラン高原?嘆きの壁?・・・・・
言葉では聞いているけれど、その実態を正確に説明できる人います?

自分が懐いた一番の疑問は、なんでエルサレムなの?です。
三大宗教の聖地なのは何となく分かるのですが、エルサレム自体は戦略的にも経済的にも要衝じゃないんじゃないか。
なのに、現在もその所有で血まみれの紛争を続けるのか。
単に聖地だからでは説明が付かないだろう・・・でした。

この本はそれらの疑問に明確に答えてくれます。

特に現代編は、著者の実体験と重なりますので、説得力があります。

宗教に興味のある方、歴史に興味のある方、政治に興味のある方、総ての人が読むべき良書です。


歴史的な話もさることながら、現代の悲劇的な状況を招いた原因を描く辺りが圧巻ですね。

マクマホン書簡、サイクス・ピコ協定、バルフォア宣言の三つは必ずしも完全に矛盾はしていないけれど、ファイサルをシリア王にアブダッラをイラク王にするはずだったのが、フランスがシリアからファイサルを追放し、イラク王にしたものだからおかしくなったのです。

第二次世界大戦後は、パレスティナ地方をユダヤとアラブに分割することは当初から決まっていて、両者も合意していたのですね。

確かに、英仏、加えて米も悪い。

しかし、当事者であるアラブがいかにもだらしない。

何度かパレスティナ国家を建設するチャンスがあったにもかかわらず、自らの欲や、腐敗、政治的な稚拙さでその芽を潰している。

一方、イスラエルだって同情すべき点も多いけれど、若い国特有の未成熟さをいまも持ち続けている。

少なくともガザ地区、イスラエル、ヨルダン、シリア、レバノンの位置関係が分かるようになりますよ。^m^