・・・・・・っということで、我輩は野良猫である。
平泉は中尊寺の境内が縄張りである。
ここいらが世界遺産とやらに指定されてから、やたらに観光客が増えてきた。
以前は静かだったのだが、いまはうるさくておちおち昼寝もできやしない。
特にうるさいのが、中国からやって来た連中。
声がでかい上に、のべつしゃべっている。
ここの良さは静かにしていないと分からない。
彼等には、芭蕉のように静寂を楽しむって心は永遠に理解できないだろう。
耳が遠いのか?国が広いので大声を出す必然性があるのか?
イヤイヤ、人が多すぎるので無口だと生きていけないからだろう。
たぶんそうに違いない。
中国人ばかりではなく、西洋人も増えてきたな。
フランス人は必ずアベックで旅行している。
人前でもやたらにいちゃつき、のべつ幕なしにキスをするからすぐ分かる。
ドイツ人はビンボー旅行をしているのが多いから、服装と匂いを嗅げば分かる。
入場料を払わずに入ろうとするのはだいたい奴らだ。
アメリカ人も中国人に負けないくらいうるさいな。
世界中から愛されていると勘違いしているのが態度に現れる。
文化に対する憧れが強いくせに、理解する能力が極端に低い。
英国人は逆に理解しようと努めているように振る舞う。
日本人が気付かないような所を見付けては喜んでいる。
ああ、無教養な人間も多いがね。
さて、日本人はどうだろう?
せっかちだね。
じっくり一所にいて、過去に思いを馳せるなんて観光の仕方をしない。
もう次の観光地のことで頭がいっぱいだ。
そして女の子たちはどーにかならないもんかね。
何を見ても「カワイイ」だ。
我輩のような老いぼれ猫を見ても、松尾芭蕉の像を見ても、観音様を見ても「カワイイ」だ。
まあ、カワイイと言っている自分が一番カワイイと思っているんだろーがね。
おっと、うるさそうな奴が一人向こうからやってくるぞ。