・・・・・・っということで、太宰にしては珍しく、十分なる資料を参考にして書かれた小説である。
こういう小説も書けるのだと、彼の才能にいまさらながら驚かされる。
日本に留学していた魯迅の仙台時代の物語である。
彼を描くのに、彼と友人だった学生の思い出話として語らせている点がとても凝っている。
医学を目指していた魯迅が何で文学に転向したのか、その謎を丁寧に描いている。
本当の彼の内面に切り込みたいとすれば、こういう小説という形式が一番適切なのだと思わざるを得ない。
魯迅が文学に目覚める過程を書くことによって、太宰自らが抱く文学への自信と誇りを感じざるを得ない。
内容とは別に、当時の日本を取り巻く情勢、特に中国との関係が面白かった。
明治維新を経て、ロシアと戦争を継続している最中の空気を感じることができる。
当時の中国は、列強から圧力を受け、植民地化される危機に晒されていた。
そんな中、自らの独立を勝ち得ていた日本に学ぼうと留学生を多数派遣するのは当然のことであった。
如何に中国がだらしないか、日本が優れていたかを魯迅の言葉として語らせている。
もちろん、当時の日本人の自画自賛も含まれているが、中国が独立を保てるよう、日本人が協力していたのもまた事実である。
日本はアジアにおけるリーダーの資格を十分保有していたのである。
それが何故、今のような日中関係になってしまったのか。
そんなことに思いを巡らさざるを得なかった。
こういう小説も書けるのだと、彼の才能にいまさらながら驚かされる。
日本に留学していた魯迅の仙台時代の物語である。
彼を描くのに、彼と友人だった学生の思い出話として語らせている点がとても凝っている。
医学を目指していた魯迅が何で文学に転向したのか、その謎を丁寧に描いている。
本当の彼の内面に切り込みたいとすれば、こういう小説という形式が一番適切なのだと思わざるを得ない。
魯迅が文学に目覚める過程を書くことによって、太宰自らが抱く文学への自信と誇りを感じざるを得ない。
内容とは別に、当時の日本を取り巻く情勢、特に中国との関係が面白かった。
明治維新を経て、ロシアと戦争を継続している最中の空気を感じることができる。
当時の中国は、列強から圧力を受け、植民地化される危機に晒されていた。
そんな中、自らの独立を勝ち得ていた日本に学ぼうと留学生を多数派遣するのは当然のことであった。
如何に中国がだらしないか、日本が優れていたかを魯迅の言葉として語らせている。
もちろん、当時の日本人の自画自賛も含まれているが、中国が独立を保てるよう、日本人が協力していたのもまた事実である。
日本はアジアにおけるリーダーの資格を十分保有していたのである。
それが何故、今のような日中関係になってしまったのか。
そんなことに思いを巡らさざるを得なかった。